小さな約束を、どうか。

霧谷

✳✳✳

──いままで長きに渡る刻を共に過ごしてきたけど、そのなかでもきみの新たな一面を見ることがあった。笑う顔だけじゃなく悲しむ顔や怒る顔もたくさんこの目に焼き付けてきた。なにひとつとして捨てられないし捨てたくない。残らずすべて大事な思い出だ。


きみが笑う時にはわたしも一緒に笑ったし、悲しむ時には共に声を上げて泣いた。怒りが収まらない夜にはふたりでイヤな気持ちの波が引くまで夜通し話していたこともあった。わたしの傍には、いつもきみが居た。



たとえ季節が巡るそのさきで、きみが居なくなるときが来たとしても。名前や姿形が無くなってしまったとしても。

わたしのなかにきみは居る。消えることのない思い出と共に確かにわたしのなかに居る。



四季の移ろいを何度感じても、わたしはきみを忘れない。


だから、ねえ。どうか笑っていて。



思い出はいつまでも心に刻まれるもの。だから最後は、とびきりの笑顔でお別れしよう。

なによりも大事で大切な、人の心に寄り添うことが上手い優しいきみへ。どうかこの言葉を贈らせてほしい。



「『また』ね、大好き!」



二度と会えないのは寂しすぎるから、


締めくくりには小さな約束を添えて。

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小さな約束を、どうか。 霧谷 @168-nHHT

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