穏やかに過ごした高校生活。さあ進路を考えようという頃になって、「スーパーヒーローになる!」と言い出した優秀な男子生徒。
彼をどうにか諭したい先生。
この2人がそれぞれ主張し合う笑い話かと思ったら、それだけでは終わりません。
「え?」と不安になり、「ちょっと……!」とハラハラして、「おお……」と落ち着いたかと思えば、また「おお……!」と盛り上がる作品です。先生のキャラクターが好きです。
夢とか目標があったら、とことんまでやってみるべきですね。
笑えるお話としても、元気をもらえるお話としても楽しめる、素敵な作品です。
4700万年程前、とある子バクが夢を見ました。
「あーあ、オラのこの毛がトンガってたらモテるのにな……」
そして子バクは念じます。
「オラぁ大きくなったら、立派な角のあるバクになりてぇ」
周囲の大人たちは、口々に言います「アイツはもうダメだ」「夢の食べ過ぎで、おかしくなっちまった」「バカ言ってないで働きなァ!」と。
しかし子バクはあきらめません。
「どうしてわかってくれないだ!? 角があればカッコイイだよ!」
ですが、子バクの言い分をまともに取り合う者は、誰もおりませんでした。
いつしか子バクも大人になり、やがて老い、死ぬ日を迎えました。しかし、彼の夢を、彼の子バクだけは信じていました。
「角があればきっとモテるだ」
子バクの子バクも夢を見て、子バクの子バクの子バクも、夢を継ぎます。
そして700万年後、「やったぁ! おら、サイになれただ」
とあるバクの子がそう言いました。
――さて、本作では、この世で2番目に馬鹿だ、と言われる『高校生男子』という生き物が夢を見ます。
通常の高校生男子であれば、
「あーあ、おやじがパイロットだったらな……」「今教室にテロリストが攻めてきたらどうしようかな」「あの子の母親が離婚して、うちのおやじと再婚しないかなぁ……」といった、しごく当たり前の妄想を繰り返すものですが、ウチの圭吾は違います。
夢は、たった一つ。
それもそんじょそこらの夢じゃございません。本物の馬鹿が見た、本物の馬鹿な夢です。子バク700万頭分とも言われる大夢。その果てになにが待つのか。
あれ、現実ってなんだっけ?
……素敵な作品です。
担任と親から将来の進路の修正を求められた少年が自身の夢をかなえようとする姿を描いた物語です。
三年A組の担任を語り部として、
〝スーパーヒーローになる〟という夢をもつ高城圭吾の迷いと選択が語られます。
本作は、物語の着想が豊かなのは、もちろんなのです。
しかし特筆すべきは、会話の組み上げと場面の演出と物語の構成です。
時系列を効果的に配置し、後半のテンポアップで一気にラストシーンまで語り終えます。
その速度感と間の取り方が絶妙なのです。
そしてラストの突き抜ける爽快感。
整然とまとまることを意図しない、開放された物語。
読者は読みながら呆気に取られること請け合いの情景で物語は区切られるのです。
手堅く組み上げられるよりも手広く打ちがる
躍動感にあふれた瑞々しい短編です。
ぜひ、ご鑑賞ください。
シチュエーションやコンセプトがとても面白かったです。
主人公は学校教師として、一人の生徒の「進路」について話をすることに。
「正義のヒーローになりたい」と本気で豪語してしまう相手に、どう対応していいかと頭を悩ませます。
そして本気で説得しにかかろうとする論理の展開がとても面白い。「ヒーローになって戦う相手は?」とか、「他の職業だって誰かを救えているのでは」という問題提示。
そして知る人ぞ知る、「あの名作映画(メンタルが元気な時じゃないと危険アリ!)」の話も出るなど、映画通なら笑えるポイントがあるのも好感度大でした。
更に示される驚愕のラスト。
果たして、何が常識で何が非常識だったのか。意外性のあるオチに思わず笑いがこぼれました。