3話 副社長

今日から東京本社での勤務。配属先は営業部だった。

営業第一部長からみんなの前で紹介され、拍手で迎えられる。

やっぱり、美人だと、男性からは好意的に迎えられるのね。

男性の目線は私に注がれている。


その後、その部長から業務内容を説明するからと会議室に呼ばれたの。


「宮下さんには、営業責任者の河野副社長のもとで営業要員としてのトレーニングを積んでもらう。全て副社長の指示で動くので、我々と接する機会は少ないと思うが、頑張ってくれ。では、これから挨拶に行ってもらいたい。副社長の部屋はあそこだ。」

「はい。」


副社長は私を容姿で引き抜いたらしい。

この部長は、副社長の指示で地方拠点から私を呼びつけただけの様子。

副社長の部屋に向かい、前に座ってる秘書に了解を得て、挨拶に入った。


「失礼します。今日から、副社長のもとで働かせていただく宮下です。よろしくお願いします。」

「おー、来たか。営業経験はないと聞いているから、しばらくは、私と一緒に行動してくれ。今日は、17時に滝本電機に行って社長にご挨拶した後、会食をするから、一緒に出てくれ。16時40分に車を秘書が用意しているから、一緒に行くぞ。それまでは、滝本電機とのこれまでの取引をまとめた資料を用意したから、読んでおいてくれ。会食は、六本木にある5つ星のABAホテルに入っている、ミシュラン3つ星のフレンチ。だから、どんな話題が合うかも考えておくように。先方の社長を喜ばすことが、君の今日の仕事だ。じゃあ、夕方に。」

「かしこまりました。」


滝本電機は当社の財務システムを導入していて、年間取引額は20億円を超える。

社長の趣味は登山とのこと。これなら会話に入り込めると思う。


でも、副社長って、どんな人なのかしら。

絶大なオーラがあるけど、意見を言わせない圧もある。

秘書に聞いてみることにした。


秘書の対応は思っていたのとは違い、そっけない。

男性のときは、女性は誰もが笑顔で対応してくれていたから違和感を感じた。

副社長秘書として、私にマウントをとろうとしているのかしら。

スタイルがいい私に、女性として敵意を持ったのかもしれない。


「当社の天皇と呼ばれている人よ。社長はメインバンクからの天下りで、週に3日はゴルフ、1日は会社きて1週間分の新聞とかビジネス雑誌とか読んでいる。あと1日はリモートとか言っているけど、何やっているかわからない。結局、当社の事業には関心がないから、当社の事業は全て副社長に一任って感じ。副社長は、ご機嫌な時はいいけど、気に入らない社員はすぐにクビにしたり、顧客案件をストップしたりするから、誰も逆らえなくて、みんな言いなりって感じ。宮下さんも気をつけた方がいいわ。まあ、あなたはアイドルなみに可愛いし、スタイルもいいから、副社長はお気に入りのご様子だけど。」

「教えてくれて、ありがとう。でも、何を気をつけたらいいの?」

「まず、反論とかしないことね。そして、副社長には常に、敬意を行動で示して。社内ミーティングの時なんかは、副社長が来るまでは、みんなを立たせて、副社長が座った後に、全員が敬礼して座るというしきたりを、参加する社員に言わないと。言わなくても、みんな、そうすると思うけど、たまに新入社員とか知らずにいると、後で、あいつはクビにしろと指示が出て、いつの間にかいなくなってるって感じ。あと、副社長以外の役員とかとは、仲良くしない方がいいと思う。」

「よく、わかった。気をつけるわ。これからも、よろしくね。」


この秘書は結構、親切に教えてくれたわね。

警戒しすぎだったのかもしれない。

これまでの女性の対応は、男性に媚びたものだったかもと思い始めていた。


夕方に、副社長と滝本電機に向かう。

車窓からは、東京の街並みの映像が流れていく。


やはり東京はいい。一流の企業が入るビルは高々とそびえる。

街を歩く人たちは、みんなエリートで、将来に夢をもって進んでいる。

そんなことを考えていると、滝本電機の本社ビルに到着した。


滝本電機の社長は、会食でもご機嫌で、ずっと私に自慢話しをしていた。

社長が私の胸の谷間ばかりを見ているのは、よくわかった。

そんな社長を見て、副社長は狙い通りという顔で機嫌がいい。


お見送りをしてから、副社長は飲み直すぞと、私をホテルの上層階に連れていった。

夜11時は過ぎていたけど安易に了解してしまった。

男性の時に上司に連れて行かれる気分で。


32階でエレベーターのドアが開くと、目の前には上品なバーが広がる。

上品な大理石のカウンターの奥で、渋い男性がシェイカーを振る。

室内は暗いけど、スタンドチェアの前をスポットライトが照らす。

自然と、副社長と私だけの世界が作り出されていた。


会食でもワインを飲み、バーでもカクテルを2杯も飲んだのでだいぶ酔っていたの。

副社長と何を話したのか、あまり記憶していない。


1時も過ぎたので、そろそろ帰りますと伝えたの。

そうすると、もう遅くて危ないから部屋をとっていると副社長は笑って言う。

ごく自然に、その部屋に連れて行かれてしまった。


部屋のドアが閉められた途端、急に抱きつかれたの。

何が起こったか分からなかったけど、男性の力は思ったより強い。

全く抵抗できない状況に怖くなってしまい、動けずにいた。


そのままベットに押し倒され、服も脱がされても抵抗できなかった。


「痛い。痛い。入れるのはちょっと。」

「なんだ、この年で処女なのか。燃えるな。まあ、最初だけだから我慢しろ。足を閉じるなよ。」

「こんなことはだめです。え、え、ちょっと。」

「我慢しろって言ったろ。」


副社長はその後、中出しをして満足した様子だった。

シャワーを浴びてくるといって、今は浴室に入っている。


どうしてこんなことになっちゃったんだろう。

まだ下半身がひりひりするのを我慢してベットに横になり、天井を見つめていた。


「お風呂入ったから、お前も入れ。ベットはダブルだから、お前は、お風呂から上がったれ、遠慮なく俺の横で寝てろ。明日の朝食はルームサービスでオーダーしているから、一緒に食べるぞ。6時に起こしてくれ。」

「わかりました。」

「宮下は、女優並みにルックスとスタイルがいいから、お客様は喜ぶ。これからも、いつも、俺の横にいて、ニコニコしてればいい。その分、給料も上げてやるから。」


言っていたとおり、それからも副社長に常に同行し、ニコニコしていた。

それだけなのに、ボーナスは最高レベルの評価で、年2回とも200万円以上が出ていた。

そして、26歳の時には、同期トップでマネージャーに昇格することになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る