新将軍義昭は信長と上洛した時、信長の人気に嫉妬していた。
「私が新しい将軍だと言うのに、信長ばかり目立ちやがって!」
信長が岐阜へ戻るとすぐに『織田家は朝敵』の知らせを西に東に手当たり次第送っていた。
その知らせで東の武田は北条や上杉との戦を一時休戦とし京への上洛を考えていた。
しかし西では、中国地方をほぼほぼ手中に治めた毛利は別にして、九州の島津や大友、四国の長宗我部などの有力大名は京から遠いのであまり興味を示さなかった。
「勝手にやってろ!
こっちはそれどころじゃねぇんだ!」
自分たちの地方統一を目指して戦の真っ最中なの
だ。
毛利は比較的、京に近いので織田家が勢力を拡大すると危険だと思っていた。
毛利元就は三人の息子を前にして言った。
「この矢を折ってみろ」
一人一人に矢を渡した。
バキッ!
息子達は簡単にへし折った。
「一本の矢は弱いが三本束ねればどうだ?」
一人一人に三本の矢を渡した。
バキバキッ!!
息子達はそれもへし折った。
「……あ、……それは、あれだ…
いいか!?お前達三人が束になって掛かっても、織田信長の力はそれをへし折るくらいあると思え!」
元就は苦し紛れの言葉だったが息子達は感動していた。
「さすが父上!!分かりました!!
我ら兄弟、もっと力を付けて織田信長にも負けないくらい強くなります!」
「よく言った!それでこそ毛利の男だ!!」
なんとか誤魔化せた思った。
京の周りにはまだ織田家に追い出された三好や朝廷大好きな本願寺、弱小ではあるが朝廷に縁のある大名もいくつかいる。
「西の毛利と東の武田が手を組めば、他の大名もこっちの味方になる
そうなれば、織田信長などどうってことはない!」
義昭の思う大名連合が出来れば、織田家包囲網は完成だ。
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