翌日、明け方。

 桶狭間は雨に煙っていた。


「天は俺達に味方してくれたようだな!」

 信長は雨音で敵陣に駆け込む音が消される事を天運と思った。

「行くぞ!今川のク○野郎どもを蹴散らせ!」

 柴田勝家を先頭に斬り込んだ織田軍は、へべれけに酔っ払っている今川軍の中を突進していく。

「猿!どうなっている!?

 毒が効いてないじゃないか!」

 信長は藤吉郎を怒鳴った。

「申し訳ありません!

 大量の毒が手に入らなかったので下剤にしときました!」

 確かに腹を押さえて動けない兵士も多かった。

 正に○ソ野郎どもだった。


 数で圧倒する今川軍だったが、兵士も武将もまともに動ける者は少なかった。

「雑魚には構うな!

 本陣を目指せ!」

 信長達は立ち向かってくる者以外は目もくれなかった。


 下剤のおかげで大した戦闘もなく本陣にたどり着く。

「今川義元!!!」

「…ん?…どうした?…何の騒ぎだ?」

 寝ぼけ眼の義元に信長軍が襲いかかった。

「覚悟しろ!」

「うわぁぁ!なんだ!?貴様ら!?」

 寝込みを襲われた義元は呆気なく倒れた。

「取ったぞぉ!!」

「おぉぉぉぉぉっ!!」

 織田軍は勝ちどきを上げ、大将を失った今川軍は散り散りに退散していった。



 この桶狭間の戦いで見事に今川義元を討ち取り、織田信長はその名を世間に知らしめる事になった。

 無名だった尾張の『うつけ』織田信長が全国区に躍り出た瞬間だ。



 一方、今川家は当主義元を失なうと、家臣であった三河の松平元康が独立したり有力な武将が離れていき急速に衰えて行く。

 その隙を逃さなかったのが甲斐の武田信玄だ。

 三国同盟を破り、今川家に攻め込んだ。

 今川は北条家に助けられるが、事実上の滅亡である。


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