ゴリラ物語🦍🍌✨ 特別編『あの憧れのバナナジュース』

ほしのしずく

第1話 あの憧れのバナナジュース🍌

 3月9日(日)


 時刻【7時15分】

 天気【快晴 最低気温12℃ 最高気温20℃】


 ゴリラは、少し前のことをバナナの椅子でユラユラ揺れながら思い出していた。


「ウホゥ……」


 あれは、4年前。


 サンキューバナナというバナナジュース専門店で出逢った日のこと。


 コロナ禍で休館となったシェアオフィスを改装した、お店だった。


「街角から小さなHappyを届けよう」をコンセプトと、いうこと。


 何より、体に優しくて、バナナをリスペクトした商品作りに感銘を受けた。


 なので、彼は京都に寄る際、必ず購入していたのだ。


 しかし、去年の今頃……テナント契約満了に伴い、行きつけの店舗だった今出川店の営業が終了した。


 数多なるバナナ、そしてバナナジュースを飲んできた。

 味を再現するなど、ゴリラにとって不可能なことではない。


 けれど、それだけではなかったのだ。


 お店に行けば、そこで知り合ったバナ友たちとのコミュニケーション、そして店員とのやり取り……空間のそのものが、気に入っていた。


 だから、ゴリラは在りし日のバナナジュースに、もう、出逢うこともない、あの空間に憧れを抱いていた。


「ウホウホ……」


 作業机に置いていたマグカップを口元に、ふぅーふぅーと息をかけて、コーヒーを飲む。


 そしてゆっくりと息を吐いて、窓を眺めてみる。


 まるで映画のワンシーンのように。


 これで、たそがれゴリラの出来上がりである。

 

 そんなたそがれゴリラが、風に揺れるカーテンを見ていると、スマホが爆音でなった。


『世界はァ♪ 猛烈にィ♪ キミ、キミ、キミを求めてる〜♪ バナナァ!』


 推しVチューバーあまとう2号の新曲、【キミ夢中で、Getyou♪ ロッキンバナナァ!】である。


 マナーモードにしていたはずなのに、爆音で掛かったことでゴリラは驚き勢いよく立ち上がった。


 だが……それが悲劇を生んだ。


 立ち上がるゴリラ→膝ぶつける→熱々コーヒーがこぼれてかかる→うめき声をあげるといったように。


 役職持ちで、マクロだって組める。

 運転だってできるし、英語だって理解できる。

 犬ともコミュニケーションを取れるし、人当たりも良くて、人望だってある。


 でも、このゴリラ……どこか抜けているのだ。


 起きたことは仕方ないと、切り替えて、まずはまだ鳴り続けているスマホを手に取った。


 すると……まさかの情報が表示されていた。


「ウホゥ!」


 ゴリラは目を見開いて、にっこり微笑む。


 情報をくれたのは、昨年昇進した現在、福井に出張中の雉島部長であった。


 《ゴリラ君、前に言っていたサンキューバナナだが、福井にもあったぞ? どうやら、今は冬季休業中らしいが、3月29日から、営業開始するらしい! 君のことだから知っているかも知れんが、一応伝えておこうと思ってだな――》


 完全な思い込み、その店舗が終了したから、他の店舗も営業していないと、そう判断した。


 これが人間であれば、自らをなにをしたんだと責めてしまうかも知れないが、彼は都会のジャングルでバナナ片手に生き抜いてきたゴリラ。


 過ぎ去った過去など、気にしない。


 そんなことよりも、出張中だというのに、自分のことを考えてくれた雉島部長の心遣いにじーんときていた。


「ウホゥ……」


 そして、ゴリラは決断した。


 もう一回ネットサーフィンしてみることを。


 

 🍌📱🦍



 この1ヶ月後。


 バナナ先輩のぬいぐるみを抱えて、福井観光をするゴリラの姿が見られましたとさ。


 ウホウホ🦍🍌✨



🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌


 こちらが本編のなっております🦍✨

 ゴリラとバナナ、そしてハートフルコメディ✨ましましの作品となっております✨

 

 いつでもお待ちしております〜♪🍌


【カクヨムコン10】「長編版」ゴリラ物語🦍🍌✨ 〜全てはゴリラとバナナで解決〜


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