思いついちゃった小話「あこがれ」

@samex

「あこがれ」

思いついてしまった小話をひとつ


誰かに影響を受けて、物事を始めるというのはよくあることで。

私自身、幼い時に読んだ江戸川乱歩がきっかけで読書に目覚め、星新一で創作に興味を持ち、西尾維新で応募を志すという、まあ、ありきたりの読書遍歴をもっております。

そんな私にもあこがれというか、目標というか、そんなものがありました。


「私の、読書や創作の世界へ引きずり込んでくれた先人たちに並びたい。」


若く自信家であった私はそんな妄想をしたものでございます。

さて、そのような野心を持ちながらもたまに物書きをしながら数十年。

仕事に追われ、読書の習慣も失せ、創作する気力も削られた悲しい物書きが生まれたのでした。


いっそ、自らの自尊心と羞恥心で物語を書くだけの虎にでもなれれば、今の世では話題にもなれたであろうに、渡る世間に虎はおらず、ただ怠惰な人間がパソコンに向かっているだけなのでした。


まさに、いまの私の心情が

「ああ、古枯れ(ああこがれ)」

といったところでしょうか。






と、いつもなら話を落としていたのですが、かようにしめっぽい話では面白くはないでしょう。

そこはそれ、話を盛って失笑を買ってこその話し手ですから。



さて、私も物書きの端くれではありますので、読まれたものの反応は気になるものでして。

カクヨムの仕様では、PVや☆などによって評価や反応をもらうことができます。この評価や反応がありますと、どのような形であれ、知らず知らず顔がにやけるのが抑えられない性分なのです。


中でも、カクヨムリワードというものがありまして、これは「ロイヤルティプログラムに参加し、作品に広告を掲載することで得られます。」「広告の表示によって得られるスコアです。このスコアに基づき、カクヨムリワードが付与されます。」

※ロイヤルティプログラムに関連する用語から引用


つまり何度も読まれることで、私の心も懐も温かくなる、ということでございます。


「私の、読書や創作の世界へ引きずり込んでくれた先人たちに並びたい。世に自分の書いた物語を出してみたい。誰かの本棚に自分の物語を入れてやりたい。小説を誉められたい。などなど」

という、あこがれ、もしくは野望のためには皆さんのご笑覧が必要なわけですね。


さりとて、このような内容で話を盛り、ようやく千字になるような文章ではあっという間に読み終わり、広告まで見られることは多くないわけでございます。


すなわち、今日も

「アドが0(あどがれい)」

なのでした。

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