ぜってぇ寝取ってやる!
かぼすぼす
NTR練、はじめちゃった!
他人のものってどうしてこんなに輝いて見えるんだろう。
「それでね、
ねむは今、ワカメみたいな女が看板のカフェで、友達……
砂糖をぶっかけたケーキみたいな惚気だ。
ヒトの気も知らないで。
脳が腐りそうなのに、玲奈から目が離せない。
はやく別れればいいのに。
でも、玲奈はいい子だから……続いちゃうんだろうな。
「もーねむちゃん、聞いてる?」
「あっ、ごめんごめん。最近寝不足でさ……」
適当なことを言って、頭がショートしてたことをごまかす。
ねむが玲奈のことを好きだってことは、本人には伝えていない。
高校卒業したら伝えようって思ってたのに。
きっと考えが甘かったんだろう。
特別な人にしか見せない顔を、ねむが見たかった。
いくら後悔したってもう遅い。これから玲奈はヒトの手垢まみれになっちゃうんだ。
自分の教科書をトイレに投げ込まれた気分なんだけど。
死ね。
つーか、あんなブスのどこがいいの!?
ねむの方が数百倍かわいいじゃん!
目ん玉ついてんのか!?
それとも……ねむが性格悪いから?
玲奈の話にてきとーな相槌を打ちながら、ギリギリとこぶしを握り締める。
性格なんてどうでもいいじゃん! 恋人っていうのは見せびらかしてマウント取るための道具なんじゃないの!?
なーんて。玲奈がそんなこと考えるなんてありえないし。
大事にするんだろうな。
彼女の話をする玲奈は楽しそうで、本当に好きなのが伝わってくる。
好きな人と一緒にいられているはずなのに苦しかった。
玲奈と別れて家に帰ったねむは、ぼすっとベッドに倒れ込む。
スマホを出して、意味もなく画面をスワイプする。
何もやる気が起きない。
けだるさだけがねむの体を支配してる。
かわいく生まれて、素敵な人にも出会えたのに。
ねむの楽しい人生はどこに行っちゃったんだろう。
惰性でスマホを触り続けていると、画面にニュースが表示される。
芸能人が不倫したとか何とか。
どうでもいい。
勝手にやってろ。
そのニュースをスルーしようとしたその時、ねむに電流が走った。
そうだ! 寝取ってやればいいんだ!
なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろう。
別に結婚したわけでもないし、結婚してても慰謝料払えばいいだけじゃん!
なーんて。
失敗したら友達ですらいられなくなるし、玲奈が彼女を裏切るなんて……。
いや、待てよ。
失敗しなければいいじゃん!
その辺のブス共を寝取って実験してやればいいんだ!
ぜったい楽しいし、そうすればやり方がわかって玲奈もいつか堕とせるかもしれない!
真面目な玲奈を寝取るのは大変だろうけど、やり方がわかるまでブス共を寝取ればいいだけだもんね!
な~んだ! 超楽勝じゃん!
はじめては玲奈に捧げたかったけど、そんなの関係ない。
どうせ玲奈だってはじめてはブスに捨てちゃうんでしょ?
じゃあ私も捨てちゃうもんね!
さあ……NTR練はじまりはじまり~!
見てろよ……ぜってぇ寝取ってやる!
*
*
*
「これは……とっても大きいですね……!」
「でしょでしょ!? ふたりで食べよっ!」
目の前に置かれた“シロネトール”というスイーツを前に、私、
大きなデニッシュの上にこれでもかとクリームが盛られています。
カフェにこんな大きさのメニューがあるなんて……。
他の方のテーブルをよく見ると、巨大なカツサンドとジョッキに入ったメロンソーダがどんと置かれていました。とても豪快なお店のようですね……。
ひとりであれば、この量は確実に入らなかったでしょう。
サクサクとした生地にナイフを入れ、食べやすい大きさに切り分けます。
「撫子、切るの上手いね~! 店員さんみた~い!」
「テーブルマナーはよく教わりましたから」
「やっぱりそういうのも教えられるんだね~。ありがとう! それじゃ、いただきまーす!」
桃香さんは嬉しそうにフォークを刺してから、何かをためらうような素振りを見せました。
「どうかしましたか?」
「えっと……ちょっとお行儀わるいかもだけど……」
私の口元にひとかけらを近づけて。
「はい、あーん……」
「あーん」
私は差し出されたそれをぱくっと頬張りました。
「このようなお作法もあるのでしょう?」
「えへへ……」
ほっぺたをぽりぽりとかいて、はにかむ桃香さん。
こちらまで照れくさくなってしまいます。
お腹いっぱいスイーツを頂いた私たちは店を出て、お花見スポットとして有名な川へと向かいました。
「今日はあったかいね」
「ええ。お花見にはいいお天気ですね」
川沿いには桜がたくさん咲き誇っていました。
ひらひらと雪のように花びらが舞っていて、思わず見とれてしまいます。
「きれいですね……!」
「うん……!」
土手でピクニックをしている方がいて、河原には釣りをしている方もいます。
「ここ、いい感じかも! 座ろっ!」
「ええ」
ちょうど桜の木の下に柔らかそうな芝が生えていました。
腰を下ろした桃香さんは硬い表情で肩を回します。
「また肩がこっちゃった……うう……高校生なのになんで……?」
「それはもう、桃香さんは……」
「え?」
「い、いえ! なにも……」
「えー。気になるよぉ」
「た、大したことではありませんから……」
「べつにいいけどさ……もう」
……口は禍の元ですね。
言いかけた言葉を飲み込んで、なんとかごまかせました。
「ふかふかだな~。寝ちゃおっと」
「本当に寝ちゃいますよ」
そう言いつつも、桃香さんと一緒になって寝転がります。
柔らかな日差しが差し込んできてとっても心地いいですね。
「撫子も寝る気じゃん」
「ふふっ、誘惑には勝てませんでした」
「……じゃあこうすれば、寝落ちしないかもね?」
桃香さんが優しく手を握ってきました。
そっと握り返すと、ぽかぽかとした幸せが手のひらから伝わってきて、同時にこそばゆい気持ちもこみ上げてきました。
「なにか、言ってくださいよ」
「……やだ」
ぷいっと顔を背けてしまう桃香さん。
いつも自分でしておいて……。
そんなところもかわいらしいんですけどね。
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