第18話
匂い付きのボールペン片手にスケジュール帳とにらめっこしていると、和泉くんが寝返りを打ったので、慌てて視線を向ける。
「(いつまで寝てるんだろ、……疲れてたんだなぁ)」
多分、私のせいなのだろうけど、私はなにもしてないし、和泉くんが勝手にまた杞憂していただけだ。…いや、私も倒れたから悪いといえば悪い。
ーーにしても、倒れた理由についてはなにも聞いてこないのが和泉くんの変なところである。貧血にしてはおかしいと思うだろうに、なにか聞いてこないかドキドキしていたけど、これは私の杞憂に終わった。
私が倒れた、っていうことに集中しすぎてこんがらがっていたんかな。
「……ん、」
ぱちり、と和泉くんが目を開く。彼は瞼を擦りながら起き上がり時計を確認したが、特にリアクションをせず、私に視線を移した。……寝ぼけてるなこれ。
「和泉くん、今21時過ぎだけど…?」
「うん」
「……あ、お腹空いてる?」
「……空いてる、かな」
「ほら、おにぎりあるから、食べて帰ろ」
「…うん」
やけに素直で口数の少ない寝ぼけた和泉くんは、おにぎりの入ったレジ袋を受け取り、ガサガサとビニールを剥いでレジ袋の中に入れて、食べ始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます