第16話

彼のその言葉に、耳を疑った。

……私のことが扱いづらい、だって? どの立場で言ってます?


「は?」と言いたくなったのを抑えて、彼が何か言うのを待っていると、心配になってきたのか、有馬くんがドアを開けて顔を覗かせた。

しまった。インタビューの時間が、と思い出したところで、和泉くんが口を開いた。




「……俺、一人の女の子とこんなに近くにいるのが、初めてなんだよ。だから、あんたのことどういう風に扱っていいんだか……いまいち分からないし、少し怖い」


こんなことを言われるとは思っていなかったため、いまとても間抜けな顔をしている気がする。

でもその一言で、和泉くんは女の子に慣れてない。……兄弟がいないのは知っているけれど、なんでそんなに女の子に慣れていないんだかわからない。


それと、和泉くんは、



「……そんなに不安に思わなくても、大丈夫だよ」


たぶん…………。

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