常に失敗する前提です

第1話

バタバタと廊下を走りながら叫ぶ私たちを、みんなが奇異そうに見ていることは知っている。


けれど、それはどうにも出来ないのだ。



だって、この人が止まってくれないから。




「嫌だよ!! なんで俺なの!?」



綺麗な顔を思いっきり歪ませながら私のほうへ振り向き、心底嫌そうに彼は叫ぶ。


あーあ。残念なイケメンだなあ、と毎日思う。綺麗な顔をしているからこそ、の要件ではあるのだが。




「あなたしかいないんですって!! 私にそんなこと言われても!!」


「どうせ企画者、君の親でしょ!? 勘弁して!!」


「親は関係あるようで関係ありません! インタビューの権限は最初に企画を持ってきた企画者である、……っ」


走りながらの会話。長台詞には向かない。逆だろうか?


「インタビューがあるなんて……っ」


「適当に答えてればいいから!!」身も蓋も無いことを言う。


「そんなこと言っていいの!? 嫌だ、絶対失敗する!!」


散々だ、と嫌がる彼にはどんな失敗が見えているのか。インタビューにおける失敗とは一体どのようなものなのだろうか……。

撮影だけならいいのに、インタビューの依頼の時だとこうなる。


……まあ、確かに。


インタビューを受けている時の彼は、撮影の時とは打って変わってヘタレ感が半端なく、すごく落ち着きがなくてインタビュアーさんが困った顔しているくらいなんだけれど。


とはいえ。校正前の彼の発言を見てみると、言っていることはとても素敵なことであり、ファッション系の話はそつなく上手く話せている。雑誌の特性上、恋愛面の話を振られるがそちらは滅法弱いのがなんというか、まあ、あれなのだが……。

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