第4話(中編)……江華島の取引──商談と法事の招待
『忘れられた皇子』(第十二章第4話)【登場人物・人物相関図】です。
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『忘れられた皇子』(第十二章第4話)【作品概要・地図がメイン】です。
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前書き
献貞前王后への気遣いを終えた李承業は、提督室で大商人・姜俊浩との商談に臨む。海賊から奪った財宝が膨大な富へと変わり、婢や親族たちとの新たな人間関係が築かれていく。
一方、法事の準備が進み、江華島の村へと物語は移り始める。
□大商人
「入ってもよろしいですか?」
その声は
しかし、
「
続けて、
「そうよ。私もお世話になっているんだから、お金に糸目は付けないわ」
その言葉を聞いて
★高値を引き出す交渉術
「
「そして、この高級絹布500反は、周帝国の皇室で使用されていたものに匹敵する品質です。あなたがこれを市場に出せば、瞬く間に売り切れるでしょう」
彼の話術は巧妙であった。一つ一つの品物にストーリーを持たせ、それがいかに貴重であるかを語った。傍らで
「こちらの香辛料もお忘れなく。この胡椒やナツメグは、船乗りたちの命を賭けた航海の果てに得られたものです。市場に出れば、まさに争奪戦となるでしょう」
その巧みな話術と説得力に、
★高値での取引成立
交渉は1時間以上に及んだが、最終的には以下の高値で取引が成立した。
-宝石類「翡翠、ルビー、サファイア」45点:15,000両
-高級絹布500反:10,000両
-精緻な陶器30箱:8,000両
-武器類「刀剣、弓、矢」:5,000両
-書画10点:7,000両
-海図3枚:4,000両
-香辛料20箱:6,000両
-家具類:5,000両
合計で60,000両の取引となった。
★交渉後の静寂
交渉を終え、
彼女の言葉に
こうして、この日の交渉は彼らにとって成功と満足をもたらす結果となった。
□提督室を出ようとしない
商談の際に聞いたのだが、
「おい、亭主のあとをついて行けよ。怪しまれるだろう?」
「そんなの嫌よ。義母に会いたくないの。お願い、一緒に来てよ」
「だが、俺が一緒に行く口実がないだろう。どうやって説明する?」
「私たち一家の命の恩人を連れてきたって言えば怪しまれることはないわ。それに、私が夫や親戚たちを説得するから心配いらないわ」
彼女は自信たっぷりに言い放った。
「まあ、いいことがないと動けないな」
「バカね、ふたり切りで過ごす時間くらい作ってあげるわよ」
「それなら行こう。だが、何をすればいいのか教えてくれ」
★
「まず、法事では祭文を読み上げる人の補佐が必要になるわ。あなたにはその役割を頼むつもりよ。父が法事の中心だけど、周囲の親戚たちに気配りが行き届かないときもあるから、そこをサポートしてね」
彼女は続けて説明を加えた。「それから、料理の準備や後片付けを手伝うのも悪くないわ。高麗人参を栽培している一家だから、その効用や使い方について質問してみるのもポイントよ。そういう話題がきっかけで父と仲良くなれるわ」
「他には?」
******
■義父
- 名前:
- 特徴: 高麗人参栽培の名手であり、村長として地域全体を取り仕切る人物。厳格ながらも温厚で、公平な判断を下す。
- 性格: 実直で、信頼を重んじる。礼儀正しい人間には特に寛大だが、不誠実な者には厳しい。
■義母
- 名前:
- 特徴: 家庭を切り盛りする賢母であり、家族の絆を何よりも大切にする。親戚関係の調整役としても信頼されている。
- 性格: 細かいところまで目が届き、特に礼儀や作法を重視する。気難しい一面もあるが、正直な人間には心を開く。
■兄(
- 名前:
- 特徴: 地域で尊敬される村長であり、高麗人参を栽培する大農家の主。穏やかな性格だが、地域の問題には毅然と対応する。
- 役割: 村の住民をまとめ、農業の指導や法事の取り仕切りも行う。
■兄の妻
- 名前:
- 特徴: 聡明で社交的な女性。法事や祭事を取り仕切り、親戚関係の調整役を務める。
- 役割: 家族や地域の女性たちをまとめ、農作業や儀式の手配をする。
■子供たち
1. 長男:
- 特徴: 父の後を継ぐ予定の青年で、農業と地域の自治に興味を持つ。武術の訓練も行っている。
2. 次男:
- 特徴: 学問に興味を持ち、村の将来の発展を模索する理想主義者。
3. 長女:
- 特徴: 元気で快活な少女。家の手伝いや親戚との交流を楽しむ。
4. 次女:
- 特徴: おっとりした性格で、家族に愛される末っ子。
******
★法事に向けて
法事は、
彼が法事にどのように関わり、義父母や親戚たちとの関係を築いていくのかが、物語の新たな展開を生むことになるだろう。
□法事での歓迎
10月25日午前11時頃、
「ようこそ、遠路お疲れさまでした!」と村長の
★贈り物の配布
まず、
贈り物を受け取った人々は皆、驚きと喜びの表情を隠せなかった。特に、親戚たちは「こんな立派な贈り物をいただけるとは」と感嘆し、村長は深々と礼をしながら「これほどの心遣いに感謝します。村全体が恩に感じることでしょう」と述べた。
★特別な贈り物に対する反応
一方で、
義母
義理の姉
★その後の雰囲気
贈り物の効果は絶大だった。
法事を控えた村長邸には、終始笑顔が絶えず、訪問者と村全体のつながりが深まった。
★1日目の段取り説明
振る舞われた軽い昼食後、控えの部屋に移動した
「ねぇ、貴方。1日目の流れくらいちゃんと分かっておかないと、恥をかくのは私たちよ。いい?午後1時から法事が始まるの。その前に、村長である兄さんが挨拶するから、貴方も簡単に一言だけでいいから、祖先を敬う気持ちを言ってちょうだい。それだけで場が和むから」
彼女は少し笑いながら「難しいことは言わなくていいの。ほら、『皆さんとご一緒に祖先を敬うことができて光栄です』とかでいいから」と軽く肩を叩いた。
「で、その後は供物を台に並べるんだけど、これは兄さんが指示してくれるから、貴方は大人しくしてて。間違えて動いたりしないようにね」彼女は冗談めかして言いながらも、目は真剣だった。
★儀式中の立ち回り
「儀式が始まったら、僧侶が読経を始めるから、ただ座って静かにしてて。そこはできるわよね?その後、焼香と礼拝があるんだけど、兄さんが先にやるから、貴方はその後をついていけば大丈夫。変に前に出ようとしないで、自然にやってくれればいいのよ」
★昼食後の時間について
「法事がひと段落したら、みんなで昼食を食べるの。貴方も親戚たちと話をしてね。あまりに無口だと『何この人?』って思われるわよ。高麗人参の話とか、ちょっと興味ありそうなことを話せば、みんなすぐに仲良くなれるわ」
彼女はそこで少し間を置き、冗談っぽく微笑んだ。「でも、しゃべりすぎてもダメよ。いつものクールな感じで、ほどほどにお願い」
後書き
贈り物がもたらす親族との連帯、新たな土地で始まる交流。
静かな人間ドラマが、やがて大きな縁へとつながっていく。
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