中島

第8話

それから数日経ったある日だった。

中島は、どこか思いつめたような・・・それでいて、何か心に決めたような様子で、青木に告げた。

「俺、東京に行ってくるわ。うまくいくか分からないけど、もしかしたら、やれるかもしれない。」

「うまく・・・って、何の話だ?」

「ん?あぁ・・・戻ってから話すよ。ちょっとな、ネットで調べてみたら面白い情報が出てきたんだ。」

「あのキノコに関することか?おい、あんま危険な事はすんなよ。ただでさえ、中島は無茶しすぎだぜ?この間の生きたキノコ女の時だって・・・」

「まあまあ、その話はもういいだろ?忘れようぜ!

それに無茶しすぎなのはお前も一緒だろ?」

「・・・まあ、そりゃそうだけど・・・」

「それに俺はオマエのように直感で行動するタイプじゃない。

 計算して行動するタイプだ。そうだろ?」

「ああ・・・そうだな。」

「危機管理能力ってモンに関して言えば、俺のほうが高いさ。」

「俺も危険回避能力はちゃんとあるぞ?」

「青木のは、動物的本能、だろ?」

「ははっ、そうかもしれないな。」


その日のうちに中島は東京に行くため、家を出た。

元々、「束縛されるようで嫌だ」とケータイも持たず、自分からも気が向いた時にしか連絡をしてこない中島だが、東京へ向かって以来、一度も連絡がなかった。

何かに巻き込まれてはいないか、今どこでどうしているのか、心配になった青木だったが、宿泊先も分からない状態で、連絡などとれるわけもない。

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