KAC20252 あこがれ

橋元 宏平

あこがれのトリの降臨を願ったんだけど、思ってたんと違う……。

 ついに、今日からあこがれの魔法学園の生徒になった。


 いにしえより伝わりし魔法学園だからデザインこそ古臭いけど、いかにも魔法学園ですって感じがして良いよねっ!


 魔法学園の制服にそでを通すと、身も引きしまるってもんよ。


 私が何よりも楽しみにしているのが、召喚魔法の授業。


 魔法学園の生徒は、ひとり1体ずつ異世界から召喚獣を呼び出して使い魔とする。


 あこがれの召喚魔法、あこがれの召喚獣。


 人それぞれ適性があるから、何が召喚出来るかは呼び出してみるまで分からない。


 私はトリが一番好きだから、トリの降臨こうりんにあこがれているのよね。


 だって、翼は誰だってあこがれるじゃない?


 もふもふの羽毛は触ると気持ちが良いし、可愛いから大好きっ!


 🦉


 さて、入学してから数日が経ち、待ちに待った召喚の授業が始まった。


 先生が召喚のやりかたを説明しているけど、私は入学前から教科書を読み込んで予習済み。


 だけど、召喚魔法を使うのは今日が初めて。


 何が召喚されるか分からないから、勝手に召喚魔法を使っちゃいけない決まりになっているのよね。


 出席番号順に、クラスメイトたちが召喚魔法をとなえ、自分の召喚獣を呼び出していく。


 イヌ、ネコ、ヘビといった小動物が次々と呼び出されて、召喚者の肩に乗ってなついている。


 いいなぁ、私も可愛い召喚獣が欲しい。


 そしていよいよ、私の番が回ってきた。


 地面に魔法陣を描き、召喚魔法を詠唱えいしょうする。


 お願い! どうか可愛いトリの降臨こうりんでお願いしますっ!


「出でよ! 我が召喚獣っ!」


 魔法陣の真ん中がぽっかりと開いて、「えいしょこら」とい出てきたのは、デブのおっさんだった。


 ど、どちらさまーっ?


 おっさんが出てくるなんて、聞いてないんですけどーっ?


 今すぐ、おかえりいただいてよろしいでしょうか~っ?


 人型の召喚獣なら、高身長のイケメンが良かった。


 母性本能をくすぐられるような、可愛いショタでも可。


 なんで、よりにもよってデブのおっさんなのよ~っ!


 やり直しを要求したいんですけどぉ……。


 落ち込む私におっさんが歩み寄って来て、そっと優しく抱き寄せられた。


 あれ? なんかめっちゃ良い匂いがする。


 それに、低反発ていはんぱつで絶妙な手触りのおなか。


 良く見たらイケオジだし、なんか好きかも……。

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