第8話

「こんにちは。1人?」



耳元で声をかけられ横を向くと

茶色い耳をつけた男が隣に座っていた。


お尻からは尻尾も生えている。


「今は1人。狼男?」


流れている音楽で声がかき消されないように気をつけながら少しだけ近づいて喋る。


そして私の存在など忘れて友達と楽しそうにはしゃいでいる彼女を横目で見る。



「そうそう。さっきまで鼻もつけてたんだけどゴム痛かったから取ったんだよね。まだ跡ついてるでしょ?」


笑いながら話していら割にこの男はやけに冷たい目をしている。



「狼男さんも1人なの?」


「いや、バイトで呼ばれたんだけど、人足りてるみたいだしサボってるとこ。いつもはあいつと別のバーで働いてる」


クイッと親指の向けられた方を見ると悪魔っぽいツノをつけて料理を運んでいる男がいた。


ついでにお店を見渡すが、確かにこの男が居なくても困っている様子はない。

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