6章③

       ◆  ◆  ◆


「奈津さん。やはりこの商品は・・・・・・」

「ええ。そのとおりです」

 カフェのテラス席で、双羽商会で購入した雑貨を見ていた。

 それらは、すべて盗品だった。

 しかし、ただの盗品ではない。ポートマフィアが海外から買付けた密輸品であり、先日破られた倉庫に保管されていた物だった。

「それに二階の店ですが、あそこの宝飾品は我々から盗んだ物ばかりです」

 樋口が見たガラスケース内の宝飾品は、鴎外から渡されたリストに載っていた宝飾品と同じものだった。

「これで、双羽商会とスワロークラフトが繋がっているのは間違いなさそうですね」

「それに、彼らの視線。まるで私たちを監視している様子でした」

「ひとまず、これらを持って戻りましょう。報告しなくてはならないことが多すぎます」

 テラス席を後にした。


「お疲れ様です、先輩」

「どうした?」

「はい。実は──」

 本部ビルへと向かいながら、芥川に連絡をした。

「──というわけです」

「わかった。ならばこちらへ戻って来い。今後について話す」

「かしこまりました」電話を切った。「一度戻るよう指示です。行きましょう」

 そのとき、凄まじい音を立てながら一台のトラックが歩道へと突っ込んできた。

 慌ててトラックを避けると、トラックは樋口たちの目の前で止まった。

 トラックには見覚えのある燕のマークが描かれていた。

「スワロークラフト!?」

 トラックから缶が転がってきた。直後、辺りが真っ白な煙に包まれた。煙幕だ。

「まりあ? どこにいます? まり──」

 首筋に衝撃を受け、その場に倒れ込んだ。

「奈津さん? どうしました? 奈津さん!」

 遠ざかるエンジン音が聞こえた。

 煙幕が晴れ、視界が開けた。

 そこに樋口の姿は無く、周囲にはトラックの破片が散らばっていた。

「奈津さん──」

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