1章②
◆ ◆ ◆
「急に呼び出してすまないね。芥川君」
首領執務室の窓辺に置かれた椅子に腰掛けた鴎外は、隣に立つ青年に話しかけた。
「構いません。ご用件はなんでしょう? 首領」
芥川と呼ばれた青年。首領直轄の遊撃隊に所属する芥川龍之介だ。
「今朝方、我々の倉庫が何者かに襲撃されたのは知っているね?」
「はい。現在樋口と黒蜥蜴たちに状況を調べさせています」
「さすが芥川君。行動が早くて助かるよ」足を組んだ。「どうやら“
『組合の一件』──
北米の異能力者集団である
「幸いにも、今回は大きな被害が出ている訳ではない。だが・・・・・・」目つきが変わった。「このまま黙っていることなど、ポートマフィアの掟に反する」
ポートマフィアには三つの掟が存在する。首領の命令には絶対に従うこと。組織を裏切らないこと。受けた攻撃は必ずそれ以上にして返すこと。この順番はそのまま重要度の順番でもある。
「そこで、だ。芥川君、この件は君に任せる。敵を探し出し、壊滅してきてほしい。そして、ポートマフィアを
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