あこがれ(KAC20252)
小椋夏己
波をまくらに船旅を
肩を痛めてちょこちょこ外科でブロック注射とかヒアルロン酸注射とかを打ってもらいに行きます。
「使いすぎやね、一週間ほど温泉でも行ったら治るんちゃうかな」
と、外科の先生に言われたんですが、本当にそのぐらいゆっくりしてみたいものです。貧乏暇なしで実際にはそんなゆとりないんですけど。
もしも旅をするのなら、温泉もいいけど船旅がしてみたい。できれば豪華客船で世界一周の旅とかいいですよね。ずっと前から私のあこがれの旅です。
そう言ってたら父親が、
「船は酔うからやめたほうがいいぞ」
と言ったんですが、豪華客船ってそんなに揺れないような気がします。乗ったことないですが、きっと船の上ってのも忘れるぐらいゆったりと大洋を進んでくれるんじゃないのかなあ。
船旅は何度かしてますが、荒れた海でフェリーに乗ったことがそういえばありました。
大学の時、一人旅で九州四国を回ったことがあります。半分は宿、半分は親戚の家に泊めてもらいました。関西から夜行列車で長崎に着き、ユースホステルで二泊して別府の伯母さんのところに行き、そこからフェリーで四国に渡ったんです。
そのフェリーが揺れた揺れた、めちゃくちゃ揺れました。ほんの数時間の旅だったんですが、室内にいたら酔ってきたもので、外の風にあたろうとデッキに出て、エンジンの音にまぎれて大声で歌を歌いながら乗り切りました。もちろん大部分はTMの歌です。子どもの頃から車酔いしていたもので、酔いそうになったらいつも大声で歌を歌っていたんですが、それを船でも応用しました。
そのおかげか吐くことなく無事に四国に着いたんですが、あれは結構きつかったなあ。
多分ですが、父はああいうタイプの船を思い浮かべてそれで酔うと言ったんでしょうが、やっぱりどう考えても大きい船は揺れないと思うんですよね。昔、学校の先生が、
「タンカーのような大きな船は上でサッカーができるぐらい広くて揺れない」
と、言ってたのを覚えています。だからきっと揺れない。
念の為に調べてみたら、今の船はコンピュータ制御でほとんど揺れないそうです。「フィン・スタビライザー」というシステムのおかげだそうですが、そう書いてあってもこんな一文が添えてあったので、そこはちょっと不安です。
「
うーん、それってやっぱり揺れるってことなんだろうか?
私が今の代表作として書いている「黒のシャンタル」という長編ファンタジー小説なんですが、そのお話の始まりが主人公の傭兵トーヤが大嵐に巻き込まれ、海に投げ出されて流れ着いた海岸で助けられて目が覚めたらめちゃくちゃ豪華な宮殿の中で「なんじゃこりゃ!」とびっくりするところからになってます。
嵐の中で上も下も分からないぐらい船が揺れたという設定ですが、私が経験した一番揺れた船は前述の九州と四国をつなぐフェリーレベルなので、そんな大きな船がコンピュータの力を借りても酔うぐらい揺れる時化ってやっぱり想像できません。
きっと天国みたいなところなんだろうなあ、豪華客船。到着した先で観光とかして、夜は船に戻ったら映画やお芝居も見放題、ご飯も食べ放題、どこかの港に入らない時はお昼にプールで泳いだりジャグジーに入ったり。
やっぱり今でもあこがれです、豪華客船で世界一周。生きてる間になんとか一度乗ってみたいものだと今もずっと思っています。
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