KAC20252 あこがれ
小烏 つむぎ
KAC20252 あこがれ
立花 美和
中学校の入学式を終えて初めて教室に入ったとき、美和は前の席の女子の髪の毛を見て驚いた。
背中の真ん中まで伸ばして二つに括られたその髪の毛は、真っ直ぐで艶やかでまるでヘアケアの宣伝にでも出てきそうな質感だったのだ。
「きっと絡まるとか枝毛とか、関係ないんだろうなぁ」
美和は思わず癖っ毛の自分の髪に手を伸ばした。
前髪はさほどでないものの横から後ろにかけては癖が強く、湿気のある日は爆発したようになる。校則で二つに括っている今も、前に座る彼女のサラサラと水のように落ちていく質感の髪とは全く違って美和の髪は何度梳かしても絡まり合ってしまうのだ。
「いいなぁ、あこがれるなぁ」
美和は机の端に貼られた「瀬田 梨花」という名前をチラリと見て、あとはその冷たさまでも感じさせるような艶やかな髪を眺めていた。
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