第6話 とーさんの好きな道
どんな高知旅行にするかでモヤモヤしているとーさんは過去の楽しかったことを思い出した。
大学卒業の時に何も決めずバイクで京都までいったこと、ママさん結婚する前に車で和歌山に行ったこと、一昨年に思いつきで馬篭宿に行ったこと。
新婚旅行やツアー、大学のサークルの旅行などではない。とーさんは気づいた。
決められた旅が嫌いなのだ。何にも縛られずに何も決めない。ただただ行って帰ってくる、その最中で何かを見たりなにかを食べたりそんな旅が一番楽しい。そう、とーさんの好きな道は「帰り道」なのだ。
人が旅をする理由はさまざまであるがゴールは必ず自分の家であるはずだ。「ただいま」のために高知へ行こう、そして休暇が終わるまでに帰ってこよう。とーさんは旅行の用意として新宿のバスタから高知駅までの夜行の高速バスの予約だけをした。クレジットカードの決済八千円、さあ旅が始まる。
とーさんの土佐日記 @syougo-tyuuzi
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