〇〇卒業
岳者
〇〇卒業
今日の朝は曇っている。
今日は卒業式っていうのに天気が暗い。3年間この学校にいてやっと卒業することになった。
自分はそそくさとパジャマから制服に着替えた。「この学ランとも今日でお別れか」という独り言を言いながら着替え終えた。
行く準備をしている時にお腹がなった。
そして、下から自分のお母さんの声が聞こえた。
「もう起きてる?ご飯食べなさい!」
自分は返事もせずに早足で階段に降りた。
食卓にはいつもとは違う料理があった。サンドイッチ、ヨーグルト、サラダがあった。
自分は目を輝かせながらサンドイッチを手に取った。
すると、お父さんが点けたであろうテレビに目がいってしまった。
「今日、〇〇市で凶暴な生き物が捕獲され射殺されました。この生き物を解析してみると米倉田石塚さんのDNAが出て来ました。専門家などが推測が推測をして、石塚さんがこの生き物に食べられたと
米倉田石塚といったら…あの人だ!と思って口に出そうとしたがお母さんが最初に口を開いた。
「あんた、この人って去年あんたの学校を卒業した人よね?怖いわね…」
自分も思っていたことをお母さんが言ってしまった。自分は口を開けたまんま頷いただけだった。
ニュースをずっと見ていたら7:40くらいになっていた。サンドイッチを2枚ほど口に詰めてヨーグルトをその後押し込んでサラダは食べずに冷蔵庫にいれた。
自分の学校はこの地域では有名な学校だ。学校を退学する人が多いという事で有名になっている。学校の偏差値は50で普通なのだが退学をする人が多いということだけで有名になった。
自分の家から学校まで15分掛かる。学校の完全登校時間は8:05だから今から家に出たら多分間に合う。いや、確実だろう。
学校の正門までついた。外に設置してある時計には7時58分を指している。少しだけ早足気味で自分の教室に向かう。
なんとか教室に着くことができた。廊下には1,2年生からの手紙や折り紙があった。
教室に入るとザワザワとした空気が流れていた。自分の席について後ろにいる友達の岡島野次の方を向いて話しかけた。
「みんなどうしたんだ?」
「いやー、今日の朝のニュースでやってた先輩が亡くなった事件のことを話してるんだよ。マジで不謹慎だよな?」
野次は食いしん坊で意外に優しい。
そしたら、急にチャイムみたいな音が鳴った。みんなが静かになり教室に先生が入ってくる。
教卓の前に立った先生は真顔のままで口を開いた。
「今は8:15だが『最後の晩餐』してもらうことにするぞ。」
自分の心の中では冗談だろみたいなことを思いながら先生の話を聞くことにした。
「もう、食べ物の準備がしてあるから1人づつ食べ物をとりにこい。」
自分は出席番号が1番だったから自分が最初に給食を取りに行った。でも、朝ご飯を食べて来たからお腹が減っていない。
先生の圧が凄すぎるから少ないやつを選んだ。野次は食いしん坊だから大盛りを選んでいた。
「お前、朝飯食ったの?」
「食ったけどなに?」
みんながいただきますをしたけれど自分はなかなか食べ始めることはできない。
給食の内容は唐揚げ、レタスのサラダ、カレー、ご飯だった。みんなが好きそうな物だけを詰め込んだような感じがするのは自分だけだろうか…。
先生が「残り10分」と言ったかに自分の手が動いた。でも、その手はスプーンに行くのではなくお皿を持ち上げたのだ。先生にバレないように野次の方に渡した。
流石にご飯と唐揚げは食べるようにはしている。カレーとレタスを野次に渡して自分は急いで食べ終わることができた。
そろそろ、卒業式が始まろうとしている。卒業生が体育館に入場する時間が迫って来てる。心がドキドキしているとがわかる。緊張で尿意が近くなったから足音を立てずにトイレに向かった。
トイレに行く途中で2人の先生が話しているのが聞こえた。気になったから自分は尿意を抑えながら聞き耳を立てることにした。
「あの、宮間先生。一号が死んでしまいました。どうしますか?」
「ほんとか?マズイな…どうしようか」
自分は疑問に思った…『一号』という言葉が頭の中でリピートされている。
とりあえず、トイレを済ませて列に並び体育館に入場をした。
卒業式が始まった。
校長先生が前に立って話をされた。
「卒業生の皆さまご卒業おめでとうございます。貴方たちは新しい人生を歩むはずです。獣のようになるでしょうね。これで、私からお話を終わりたいと思います。」
「続いては卒業証書授与」というアナウンスがなったから自分は椅子から立ち上がりステージの上に登った。
そして、校長先生が卒業証書を読み上あげる。
「令和〇年第一号〜(以下略)」
どうしてだろう…この学校で卒業をした人が多いのに一号なのだろう。普通に20万号とか思っていたのに…。最近は何かおかしい気がする。
やっと、卒業式が閉会をして在校生は帰宅して卒業生は各自教室に戻った。
教室に戻ったが数分間の沈黙ができた。
すると突然野次が叫び始めたのだ。自分は後ろの席の野次をずっと見つめ続けて「大丈夫?」と何回も言った。
次は野次の体に変化があり体毛が生えてきて白い牙が生えてきた。目が赤く充血しておりよだれを垂らしている。人の言葉などは話さなく唸り声みたいなものを発しているだけだった。
クラスの人が次々と野次と同じようになっていった。
自分は怖くなり教室から抜け出し急いで家に行った。親はずっと学校にいるからいない。鍵がかかっていたけど力づくで扉を開けた。
そして、警察に電話しようと受話器に手をかけた時に気づいた。
『自分の手に1という番号が浮かんでいた。』
自分は急いで洗面台に行き手をいくら洗っても1が消えない…たわしで手を擦っても消えない。
そして、あれから1年が経過した。あんな事があったから自分は極度の疑心暗鬼となった。まだ、自分の手の甲には1という数字が残っている。
それで、怖くなり学校の事やこの手の甲の事をネット掲示板に書き込んでいる途中に自分の口が大きくなり体毛が濃くなってきた。
開いていたPCの画面が消えて写っていたものはまるで獣のような顔が映し出されていたのだ…。
〇〇卒業 岳者 @rimoKON14
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