第7夜

 眼を開けてベッドから体を起こす。

 家の中を歩いて玄関まで向かう、キッチンの水道から水滴が落ちる音が妙に気になる。

 玄関にあるハンガーから上着を手に取り寝巻の上から着る。置いてある赤い鍵を手に取る。

 玄関から外へ出て鍵をかける。外は暗く月明りと遠くの自販機の明かりだけが静かに照らしている。


 通りに出てコンビニまで歩く。外は寒くない。

 人のいないコンビニに入り商品を見る。レジに人は居ない。特に何も買わず外に出る。ゴミ箱はゴミで溢れている。


 大通りに向かう。途中の道には空き缶が転がっていた。空き缶を拾って大通りに向かう。

 大通りも人は居ない。黄色信号が点滅している。

 大通りの反対側に渡る。花屋以外はシャッターが降りている。

 花屋のゴミ箱に空き缶を捨てる。花屋には赤い花が写ったポスターが飾ってある。

 ポスターには「母の日にはカーネーションと感謝の言葉を」と書かれている。

 大通りから河川敷に向かって歩いていく。


 河川敷は雨が降っている。置いていた傘は無い。

 雨に濡れながら川を眺める。遠くで魚が跳ねているのが見える。

 石を拾って川に投げる。跳ねていた魚がいなくなり静かになる。


 家に向かって歩き始める。上着は濡れていて重い。少し寒い。

 来た時とは違う道を歩く。雨はもう降っていない。道のゴミ捨て場に壊れた傘が捨てられている。


 途中の花壇に黄色いカーネーションが咲いている。遠くの空が明るくなってきた。

 家から見た自販機がある。ポケットからお金を取り出して暖かいお茶を買う。

 自販機の前でお茶を飲み干す。ペットボトルをゴミ箱に捨てて家に向かう。今は寒くない。


 ドアノブに手をかけると鍵がかかっている。鍵を開けて家の中に入る。

 上着をハンガーにかけて再びベッドに入って目を閉じる。キッチンの水道から水滴が落ちる音が妙に気になる。

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