第6夜

 眼を開けてベッドから体を起こす。

 家の中を歩いて玄関まで向かう、キッチンの水道から水滴が落ちる音が妙に気になる。

 キッチンへ向かい水道の水を止める。机の周りには割れた食器が散らばっている。

 玄関にあるハンガーから上着を手に取り寝巻の上から着る。置いてある青い鍵を手に取る。

 玄関から外へ出て鍵をかける。外は暗く月明りと遠くの自販機の明かりだけが静かに照らしている。


 通りに出てコンビニまで歩く。外は寒くない。

 人のいないコンビニに入り出入り口付近にあった傘を一本手に取る。レジに人は居ない。ポケットからお金だけ取り出してレジに置いて外に出る。ゴミ箱にはゴミが溜まっている。


 大通りに向かう。途中の道には空き缶が転がっていた。空き缶を拾って来た道を戻る。

 コンビニのゴミ箱に空き缶を捨てる。ゴミ箱はゴミで溢れている。

 再び大通りに向かう。大通りも人は居ない。黄色信号が点滅している。

 大通りから河川敷に向かって歩いていく。


 河川敷は雨が降っている。

 傘をさしながら川を眺める。遠くで魚が跳ねているのが見える。

 石を拾って川に投げる。跳ねていた魚がいなくなり静かになる。


 傘を置いて家に向かって歩き始める。雨はもう降っていない。

 来た時とは違う道を歩く。雨はもう降っていない。道のゴミ捨て場に濡れた傘が捨てられている。


 途中の花壇に黄色い花が咲いている。遠くの空が明るくなってきた。

 家から見た自販機がある。ポケットを探るがもうなにも無い。


 ドアノブに手をかけると鍵がかかっている。鍵穴に鍵が入らない。

 ノックしてしばらく待つと鍵があく音が聞こえる。扉を開けて家の中に入る。

 キッチンの水道から水滴が落ちる音が妙に気になる。

 上着をハンガーにかけてキッチンに向かう。水道には棘のついた針金が巻いてある。

 再びベッドに入って目を閉じる。

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