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「それに、柴ケン本気っぽいし」


「そ、かな…?」


「え、自覚ないの?あんな顔に出しといて?」


「どんな顔だよ」


「変態っぽい顔」




悪かったな、変態顔で!




「で、本気なの?遊びなの?」


「遊びって…」


「返答次第ではさっきの言葉訂正するよ」


「………」




本気かどうかと問われれば、正直なんて言っていいのか分からない。

サーヤは応援すると言ってくれたが、端から見たら俺の勝率は限りなくゼロに近いだろう。

何より勝ち目がないことは自分の容姿にコンプレックを持つ俺が一番よく分かっている。




「俺、見吉さんの恋人になりたいとは思ってねぇよ…」




なれるとも思ってないから。




「……でも、さ」




傍にいられればそれでいい。

だから友達の立場を利用して一緒にいようと思った。

それだけで十分だったはずなのに、いつしかそれ以上の感情を抱くようになって、どんどん欲張りになっていく自分に気付いた。

それに名前を付けるなら「恋人になりたい」なのかもしれないが、正直よく分からない。




でも一つだけはっきりしていることがある。




「見吉さんを好きな気持ちは、誰にも負けないと思う」




片想い歴は一年だが、彼女ともっと早く出会えていたらその瞬間から俺の片想いは始まっていたに違いない。

そう思ってしまうくらい、これまで一度だって彼女への気持ちが揺らぐことはなかった。




「何が分からないんだか…」と小さく呟くサーヤの声を、俺は聞き取れなかった。

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