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突如バイト先に現れた、見吉さんとサーヤ。

家が近所のサーヤは兎も角、何で見吉さんまでこんなところにいるんだろうか。




「み、見吉さん、何でここに…?」


「見て分かんないの?買い物に決まってんじゃん」




お前には聞いてねぇよ!




「柴田くんが前にここでアルバイトしてるって言ってたでしょう。だから柴田くんに会いに行くついでに夕飯の買い物も済ませちゃおうと思って」


「俺に、会いに…?」


「うん。柴田くんに聞きたいことがあったの」




見吉さんが、俺に会うために態々こんなところまで…。


ヤバイ、顔がニヤける。




「キモ」




聞こえてんだよ!




「そ、それで、見吉さんの聞きたいことって何?」


「あのね、柴田くんの連絡先を教えて欲しいの」




……ん?




連絡先?




「え、知らなかった、の…?」




え、嘘…。


ショック過ぎて笑えねぇんだけど。




「ぷっ、何ショック受けてんのー!あからさま過ぎてマジウケるんだけどー!」


「煩ぇよ!!」




確かに見吉さんから連絡をもらったことは一度もなかった。

ただ単に俺が相手にされていないとばかり思っていたが、連絡先を知らなかったとなれば話が変わって来る。




え、自分から連絡しろって?


そんなこと恐れ多くて出来るわけねぇじゃん。←




「一年の時に皆で連絡先を交換したでしょう。その時、柴田くんだけ途中でバイトで抜けちゃって…、それからずっと聞けずじまいだったの」


「そ、そっか…」




兎に角、嫌われてたわけじゃなくてホッと胸を撫で下ろす。

俺はズボンのポケットから携帯を取り出して見吉さんの前で自分の連絡先を開こうとした時、ふとあることに気付いて咄嗟に携帯を持っていた手を後ろに引っ込めてしまった。




「どうしたの?」


「えっ!な、何でもないよ!」


「……本当?」


「本当本当!」




言えない。


言えるわけがない。




連絡先を知らないのは見吉さんだけで、俺の携帯には既に見吉さんの連絡先が登録してあるなんて。


しかも登録名は“女神”。




……ヤバい。


絶対見せらんねぇ。




「じゃあ何で携帯を隠したの?」


「か、隠してないよ!」


「でも今後ろに…」


「いや、それは…っ」




どうしよう。


何て言い訳しよう。


ああ、クソ!


何でこう言う時に限って何も思い付かねぇんだよ!




「じゃあこうしようよ。二人の連絡先を知ってるあたしがお互いの携帯に連絡先を送っといてあげる。柴ケンもバイト中だから大っぴらに携帯弄れないだろうしさ」


「あ、そうだよね!ごめんね柴田くん、私気付かなくて!」


「い、いや、見吉さんが謝ることじゃないよ」




セ、セーフ。


サーヤのくせにナイスフォローじゃん。




「てか、ユッキー買い物は?あたしはここで待ってるから行って来なよ」


「あ、忘れてた!ごめんね、すぐ買って来るから!」


「ごゆっくりー」




サーヤはヒラヒラと手を振って見吉さんを送り出した。

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