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「もう、リサも意地悪しないでよ。私に彼氏がいないことはリサが一番よく分かってるくせに」


「え、そうなの?」


「うふふ、ごめんね柴ケン。でも意地悪したわけじゃないんだよ。いくら中学からずっと一緒だからってあたしも雪緒の全部を把握してるわけじゃないし、雪緒も自分のことはあんまり話さないじゃない。だから偶には自分から話してもいいんじゃないかと思ってね」


「あ、そっか。二人は同中だっけ」


「うん。まさか中学から大学まで雪緒と一緒になるとは思わなかったけど」


「何よ、その言い方?私と一緒じゃ不満なの?」


「ふふっ、どうだろうね」


「もうはぐらかさないでよ…」


「可もなく不可もなく、かな」


「それをはぐらかしてるって言うの!」


「そう?」




……見吉さん、楽しそう。


やっぱり付き合いが長いっていいな。


俺も、もっと早く彼女と出会えてたら…。




そう思ってしまうのは、俺が村瀬さんのポジションを羨ましく思っているからだ。




「………いいな」


「「何が?」」




無意識に口から漏れた言葉に見吉さんと村瀬さんが素早く反応した。




「あ、いや…、二人共仲良いなと思って…」


「そうかな?」


「そんなことないよ。それにサーヤと弘美の方が仲良いと思うよ」




村瀬さんの視線が俺の両サイドに向けられる。

その視線の先にいるのは、法学部の白井弘美(しらいひろみ)と教育学部の鬼頭娑彩(きとうさあや)だ。

あだ名はクロとサーヤ。




「サーヤとひろみんは3歳からの付き合いだから今年で……17年?」


「疑問系で言わないでよ」


「だってひろみんはその頃のこと全然覚えてないんだもん。サーヤだけ覚えてるとか何か理不尽じゃん」


「わ、悪かったわね!物覚えが悪くて!」


「やーい、おばーちゃんだー!」


「誰がおばあちゃんだ!サーヤの方が誕生日早いくせに!」


「でもサーヤは忘れてないもーん」




……相変わらず喧しいな。特にサーヤ。




「俺を挟んでやるなよ、鬱陶しい」




この二人は学部こそ違うけど幼稚園の頃からの幼馴染みだ。

仲は良いようだが、見た目は対照的な二人だから初めて紹介された時は友達ってことすら信じられなかった。

クロは健康的なスポーツ女子って感じで、反対にサーヤは今時の派手に塗りたぐってる合コン大好き女子。

そんなタイプの違う二人が幼稚園からずっと一緒にいるなんて想像出来なかったが、今となってはサーヤとクロのやり取りも日常化していた。


因みに、俺はサーヤみたいな女が苦手だ。

メイクが濃いとか見た目の問題ではなくキャピキャピした甲高い声が苦手で、正直このグループにサーヤがいなければこんな風に気軽に話せる仲にはなっていなかったと思う。

しかも今では学部も一緒と言うこともあり、大学内で一番連んでいると言っても過言ではない。

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