第31話

ドラマや小説なら、タイミングよくひなこちゃんは目覚めてくれて、それから何度だって人生をやり直すことだってできたんだろうけど、現実はそうはいかない。


面談終了の時間になっても眼を覚ますことなんてなかった。



それから、大学をしばらく休んで思い出の地を巡って夜それをひなこちゃんに報告した。


もう思い出は増えることがないのかな。


過去を思い出すだけなのかな。

そんなの、すごく辛いよ。

でも、それはきっとちょっとの勇気がなかった私のせいだ。


後悔はいくら悔やんだとしても、なくならない。

過去は、もう戻れないから過去なんだ。

過ぎ去った時間は、もう二度と戻らない。それが、どんなに素敵で輝いていたとしても。

思い出は思い出のまま、だんだん薄れて消えていくんだ。


だけど、それは絶対に嫌だ。

せめて、思い出だけは消したくない。消えて欲しくない。

そのためには、どうすればいい??

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