第6話
私があの日、美術室でみたものは
『エバーグリーンの液体に入った人の目玉』
だった。
「なにこれ、気持ち悪い。まさか本物じゃないよね。」
それだけゃない。
赤い液体の入ったビンがたくさん入っていた。そのビン1つ1つに名前が書いてある。
私はその名前に聞き覚えがあった。
そして、この色にも。
律の絵にいつも出てくる不思議な色。
私は昔から律の絵は"他の絵とは違う何が"があると思っていた。
それにはこんな秘密があるなんて思いもしなかった。
毎年、年末になると特番を組まれるほどのこの街の行方不明者の多さ。
私が小学校の時からこの街では継続的に行方不明者がでている。
私が小学の時から、、、?
いや、違う。
律がこの街に引っ越してきてから、かもしれない。
「嘘でしょ…。」
自分の中にあったいろんなことつながった。
その時、美術室のドアがあく。
律が帰ってきた。
私はいそいで元の位置に戻る。何にもないようにふるまう。
律が何か言っているけど聞きとれない。
ダメだ。ねむい。
もう、何も考えられない。
閉じていくまぶたのうらに律の笑顔がうかぶ。
そうだ、全部嘘だ。全部、夢だ。
だって律は私の好きな人だもん。
それ以上でも、それ以下でもない。
起きろ!起きろ!!と強く願わないと意識を保てなかった。
律が助けてくれるから、もういいや。そう思った時、目の前がまっくらになった。
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