第9話

「消えないで。」





感傷的になっていた俺は、はっと目を見開いた。



彼女の声は、俺の耳に脳に体に心に、凛と響いた。




色素の薄い澄んだ瞳が俺を見つめる。





ああ、彼女は強い。



自分の弱さ、他人の弱さを受け入れ、理解する大きな心を持っている。



俺は、生まれて初めて、人を“美しい”と感じた。








俺は聞いた。なんでもないふりをして。

一瞬で虜にされた、なんて知られないように。




「なにしてたの?」

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