ハナとナナ

不毛な恋

第1話

「あ、エータ先輩」



二階の教室の窓から見える校門に、今日もエータ先輩を見つけた。


やっぱり、いつ見てもかっこいい。


どうしよう。


カッコ良すぎる。



「またエータ先輩見てんの?あんたも飽きないよね」



隣りからため息交じりに聞こえる、親友の呆れた声なんて耳に入らない。


今日のエータ先輩はコーキ先輩と一緒に登校らしい。


2人でふざけ合いながら校門から昇降口の方へと向かって来る。


朝日に煌めく栗色の髪、遠目からでもわかる整った顔。


そこにはいつものように、柔らかな微笑をたたえていて。



「ああ、もう、素敵過ぎる」


「はいはい」



恍惚としてしているあたしの横では、親友ユキちゃんの投げやりな返事。



「何でユキちゃんには、エータ先輩の良さが分かんないのかなー?」



ユキちゃんの態度が気に入らないあたしの、不満溢れる愚痴に、



「だって、彼女いんじゃん」



バッサリと切り捨てるユキちゃん。

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