第84話
『倒れたお前に言われても説得力がない』と苦笑いを浮かべる社長は、少しだけ緊張が解れているように思えた。
そんな彼を見たら余計に胸が痛んだ。
「食事も摂れないほど……悩んでいるんですね」
「悩む……か。どうなんだろうな。いろいろと考えさせられてはいるけどな」
”考えさせられる”
その言葉で”更に心身共に追い詰めて追い込まれているんだ”と再認識させられ、だからイトカは自分が今思っている率直な気持ちを伝える事にした。
「シバ社長……やっぱり私を、解雇してください」
「なッ……」
「私なんかを守るために社長が会社を離れてしまうのは、やっぱりおかしい。それもあんな男に乗っ取られるなんて……絶対ダメです」
「だからそれは――」
「それにッ」
止めようとする社長の言葉を遮ってイトカは続けた。
「もうこれ以上……私を守るために社長が苦しむのはイヤなんです。ボロボロになっていくのは……見たくない」
感情が高ぶっているせいか目の奥に熱いものが込み上げて、気を緩めたら溢れてきそうだった。泣くまいと抑えるのに必死で、それでも最後は涙声は誤魔化せない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます