第71話
その一瞬の反応を金我は見逃さず『食いついたな』と言いたげな表情で、またニヤリと笑う。
「このビルの長である代表取締役社長様がどこの馬の骨かもわからぬ庶民と、あろう事か婚約をするなどと……この街に住む人々が許すはずがないでしょう。どんな契約をしたかは知りませんが、貴方様にも直接そう言った意見は耳にしているはず」
金我の確証した物言いに社長は肯定も否定もせず、腕を組んで黙って何かを考えている。
イトカは金我の言葉にも驚いたが、それ以上に何も言わない社長に対して”真実なんだ”と確信せざるを得なかった。
『自分のせいで婚約をした事で……社長が解任される』
そんなのダメだって思い、イトカは口を挟んだ。
「あの、私はッ」
「お前は何も言うな!」
しかし最後まで言う前に社長に強い口調で止められてしまった。
その眼はバーでイトカが金我に触られていたときに止めに入ったときと同じ。
誰も触れさせない程の殺気を放ちながら、静かに怒り心頭している。
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