第37話

「そんな事より会議始まりますよ」


 言い返すのも億劫で相手にする気にもなれず、彼女の嫌味を無視した。


 イトカの態度にムスッとした表情を浮かべた鮫島だったが、確かに会議の時間が差し迫っていて言い合っている場合ではない事に自身も気が付いた。


 今日は朝からVIPルームでの大切な会議。もちろん秘書の鮫島も出席するため、事前の準備から忙しく動いていたのだ。


「急な用件以外は取り次ぐな。何かあれば鮫島に連絡しろ」


 そう言って足早に出ていく社長と鮫島。社長室に残されたイトカは、ふと思う。


「そう言われても急かどうかって、私にはその基準の判断はわかんないんだけど……」

 

 『まぁなんとかなるか』と深くは考えず、痛む頭を誤魔化しつついつものように頼まれていた仕事をこなした。


***


 会議が始まって数時間。時計もお昼に差し掛かっていた頃――


「やっと終わったぁぁぁぁ」


 資料の入力をなんとか午前中に終わらせる事が出来、大きく伸びをしノートパソコンを閉じたところで。


 コンコン―――



 社長室の扉を誰かがノックした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る