第22話

『あ、そっか』と1人で閃いて納得し。


「見るからに甘そうだったけど、洋風テイストだからクリームが多すぎなのかも……」


 素直でシビアなコメントを口にした。

 それを聞きながら社長は手元にあった紺色の手帳を開き、イトカの意見をメモし始める。

 そこには”新作洋風和菓子の報告”と記載。イトカの意見を報告するのが目的だった。


「女性はカロリーが天敵ですし、もう少し甘さを控えないとだと思うんですよね」

「……そうか。わかった」

「え、こんな感じでいいんです?」

「あぁ、十分だ。聞いて余計に俺は食べなくて良かったと思えた」

「……そこですか」


 まさか自分の意見が参考にされているとはまったく想像もしてないイトカは、『社長が貰ったのに食べられないから私に?』と素直に受け取った。


「食べ終えたところで話がある」


 手帳を閉じ、社長は急に真剣な表情で指を組んだ。


「木瀬。お前は今日から俺のアシスタントもやれ」

「・・・はい?」


 あまりに突然の異動告知に今度は何が起きるんだろうかと、背筋が凍る思いだった―――

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