第2話

二つの三日月を眺めていたら、綺麗な栗色の髪の毛の男の子が隣に座った。



「僕に1つ三日月を下さい。」



私は右手で男の子に三日月になったビスケットを渡す。



「どうぞ。」



男の子は笑った。


笑顔がこぼれる。


ひまわりみたいな男の子。



「ありがとう。」



私たちの小さな紅葉のような掌。


そこには半分このビスケットがある。



一緒に並んで座って食べる。


ミルクやバターのいい匂いが口の中で広がる。


あったかい、あったかい、幸せみたいな味がする。


お母さんみたいな味がする。



「一緒に食べるとあったかい味がするね。」



私たちは甘い匂いのする手を繋いだ。



そうか。



神様。


そうなんだ。



私、思い出したような気がする。




小さな小さな嘘の後には、優しい夢が待っているんだね。


だって。


もしも、嘘が優しくなかったら。


星空なんかなくなってしまって、真っ暗な闇を一人で歩いて行かなければならないんだもの。




「嘘のあとの、優しい夢。」



男の子がほほえむ。



夜明けの匂いがする。

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