ある別れ

深町 祐介

彼のこと

「ごめん、明日仕事になった」

 僕は、ちょっとした覚悟を決めるような、えい、という、そんな気持ちでメッセージの送信ボタンを押すと、スマホをしまい、すぐに仕事へと戻った。

 それから数時間、仕事が終わる時間になっても、そのメッセージに既読はつかなかった。

 僕は、少し遠くを見て、深呼吸をした。

 彼女は怒っているんだろうな、と思う。たぶん、とっくにメッセージには気が付いているけど、既読はつけないつもりなのだろう。無関心を装う、やり返しのつもりなのだろうとも思う。

 僕は、また彼女との約束を守れなかったのだ。

 仕事の疲れだけではない、なんだかいろんなものが混じった深呼吸は、下を向くと深いため息になった。


 僕は彼女のために頑張っていると思っている。断れない仕事もある。

 でもそれは本当に彼女のためだけだろうか。他人にいい顔をしようとする、目を背けている僕の嫌なところもチラついたりもする。そんなことを考えながらいつの間にか眠っていた。


 翌日の朝方、彼女からの返信がきた。

 表示された文字はこうだった。

「もういいよ」

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