第8話 ドキドキ秘密の魔獣退治
寂れた村だ。
レントはその村に足を踏み入れた時にそう思った。その小さな村の人々は皆、どこか暗い顔をしていた。マリンもそれは感じていたらしい。
「この村の人達、何か困り事があるかもしれませんね」
「そうだね……」
村の名前はオリヤ村。
二人がオリヤ村に着いたのは夕刻になってからだった。村の入り口付近にいた村人に挨拶をして村長の家に案内してもらう。宿屋はないので村長の家に泊まることになったのだ。
「どうぞ入ってください」
「突然お邪魔したのに泊めて頂きありがとうございます!」
「いえ、今日は他にも客人が来ていますが、それでも良ければ」
「もちろん、構いません。泊めて頂けるだけで十分ありがたいです」
簡単なお互いの自己紹介の後、二人は二階の最も階段に近い部屋に案内される。村長の小さな娘が無邪気に二人に付いてきた。
「いらっしゃい!!!」
「お邪魔します」
レントは微笑んで挨拶した。
村長の妻が二人に呼び掛ける。
「晩御飯がもう少しで出来上がるので、後程お呼びしますね」
「はい、お願いします!奥さん、今のうちに宿代をお支払いしてもよろしいですか?払い忘れるといけないので」
「……いえ、その前にご依頼したいことがありまして……受けて頂けるのであれば宿代も結構です」
「分かりました」
「お願いいたします。晩御飯を食べながらお話しさせてもらいますね」
レントとマリンは村長一家の食卓に交ざる。
「マリンさんは魔法使いなのですね。いきなりで申し訳ないのですが頼み事があります。お話だけでも聞いてもらえませんか?」
「はい、私もこの村のことは気になっていましたから」
「ありがとうございます!」
村長は苦しそうに話し始めた。
「この村は魔獣被害に遭っているのです。我々も生活のために森へ入ることがあるのですが、ある日一人の村人が帰ってこなかった。探しても見つからず、そうしているうちに二人目がいなくなりました。二人目は死体が見つかったのですが、その周辺には通常の獣よりも遥かに大きな足跡があったのです。死体は持ち帰れませんでした。状況から分かったんです。熊が魔獣に変異したのだと」
村人達はせっかく村の仲間を見付けられたのに、獲物への執着心が強い熊から死体を取れば、ただではすまないと泣く泣く撤退することなったのだ。
「魔獣は村人を襲い、森にはうかつに近付けません。そのうえ、あの魔獣は人を食べ物だと認識し始めたようなのです。こちらの様子を伺い徐々に距離を詰めている」
「村を餌場だと思い始めてるってこと!?」
「国からの支援はないのですか?」
「この村のように小さな村は助けに来てくれないのです。魔獣討伐隊は魔獣の数や人口が大きい町を優先して派遣されますから……」
「そんな……」
「魔獣被害が深刻化するようなら、近くの町や村に散開することなります……」
「ぐすん、ぐすん……」
「ああ、ミリヤ。お部屋に行きましょう」
泣き出した娘を自室へ送るために村長の妻が連れ添って部屋から出ていった。
「実は……」
「国王陛下が地方巡回で近くの町に来ると言う噂を聞き直談判しようと行ったのですが、人だかりも多かったうえに警備も厳しく、その姿を拝見することすら出来ませんでした……。私は、私は村長失格だ!」
村長は伴侶の前では言えなかった弱音が出たようだった。元々、助けられる可能性は低いと分かってはいたが、直談判ならもしかしたらという思いがあったのだろう。そして、それは他の村人達も同じだった。藁にもすがる思いで希望を抱いたからこそ、余計に落胆は大きくなる。
「だから皆さん、暗い顔をされていたのですね……」
マリンとレントは頷きあった。
「放ってはおけません。その魔獣の討伐を引き受けます」
「よ、よろしいのですか!?ありがとうございます!」
「はい、故郷までの道行きは皆さんのように困っている人達を助けるためにありますから!」
涙を堪えた村長が二人に袋を渡す。
「村の皆から集めたお金です。これで引き受けてくれませんか?」
「はい、分かりまし──」
コン、コン。
マリンが了承しようとすると突如、部屋のドアが叩かれた。
「ちょっと失礼しますよぉ?」
ドアが開かれ口を挟む存在が部屋に入ってきた。
「命掛けるには、それは端金じゃないですかねぇ?」
入室したのは20代後半と見られる男性だった。腰まで真っ直ぐ伸びた艶やかな金髪、エメラルドのような色の目にモノクルを掛けた長身のその男性は一見すると女性とみまごうような美しい顔立ちをしていた。レントは彼が自分達より先に村長の家に来て泊まっていた客人なのだろうと直感する。飄々としたうすら笑いの笑顔がどこか胡散臭いような印象を抱かせる人物だった。
「それ、町で五日間働いたら手に入る金額でしょう?せめて三ヶ月分じゃないと」
「……おっしゃる通りかもしれません。それでも我々が出せる精一杯なのです」
「規模も小さく案の定、お金も出せない。正直、人員を割いてまで助ける価値のある村ではないですねぇ。わざわざ魔獣討伐隊が組まれなかったのも頷けるというものです」
「そ、それはっ……」
村長と男性のやり取りを聞いたマリンは、固い声で男性に問いかけた。
「あなた、傭兵の方ですか?」
「いえ、しがない大道芸人ですよ」
「そうですか。戦うわけではないのなら口を挟まないで頂きたい。村の規模など関係ありません。そこに人がいて、助けを求める人がいるのなら私は戦います。失礼します」
マリンはツカツカと男性の傍を素通りし、二階の部屋へと戻っていった。
「やってしまいました。逆に焚き付けてしまったみたい」
「どう聞いても挑発にしか思えませんでしたよ。お兄さんの台詞……」
「そお?利益がなければ討伐を止めると思ったんだけど」
「マリンはそんなんじゃないよ」
「なるほど……利他主義の理想に燃える人ってやつは、そういうもんだよねぇ……」
レントは溜め息混じりで男性に言い返した。いきなりやってきて随分な物言いをしてくれたものだ。内心でレントもムッとしたがそれ以上にマリンの抑えた怒りを感じ取り、冷静さを保っていた。それでも男性をジト目で見ることは止められない。そんなレントに男性は片目だけぱちくりと瞬きする。
「横やりを入れたようで悪かったですね、坊や。あのマリンという女の子にも謝っておいてくださいな。それでは」
「あの……」
「ん~?」
退出しようと背を向けた男性をレントが呼び止める。
「お兄さんはさっき『逆に焚き付けてしまった』って言っていたけど、本当は俺達に討伐を止めさせたかったってこと?どうして?」
「おかしなことを聞くじゃないか。そんなの決まっているデショ?」
こちらに背を向けたまま流し目で男性はレントを見ている。肩越しで口元は見えないが、どこか冷え冷えとした目線から、飄々とした先ほどまでの笑顔は消えていることが察せられる。
「危険に飛び込みそうだったからですよ」
「……」
「それでは!おやすみ!」
「……おやすみなさい」
村長にも挨拶をして部屋を退出し、レントは自身もマリンがいる部屋へと戻った。マリンは唸り声を上げながら杖を素振りしていた。
「マリン……もしかしなくても怒ってる?」
「はい、とても!何なんですか!?さっきの男性!」
マリンの抑えた怒りが解放されている。
「思うのは自由ですけど、村長さんの目の前で言うことなくないですか!?」
「ホントあり得ないです!人の命はお金では代えられないものの筈なのに、あんな言い方!」
「しかも泊めてもらっている立場なのに失礼すぎです!」
マリンが矢継ぎ早にあの男性に対する文句を言っている。レントは苦笑いしながら、マリンを宥めるためにそうだねと同調するが、男性の言葉を思い返す。
『危険に飛び込みそうだったからですよ』
(……多分、そんな悪い人でもないとは思うけど)
そうレントが考えているとドアがノックされた。マリンがドアを開けると村長の妻が立っていた。
「お夜食を持ってきました。食事もそこそこに退席していたから、お二人ともお腹が空いているのではと思って……」
「あ、ありがとうございます!」
「お礼を言われるようなことではありません。むしろ申し訳なく思っています。あの大道芸人の人の言う通りです。我々は端金で、しかもあなた達のように年若い子達を、魔獣と戦わせようとしている……。きっと彼は我々に怒っていたから口出ししたのでしょうね……」
村長の妻は娘のミリヤを自室に連れていった後、部屋には入って来なかったが、実は話を聞いていたらしい。
「奥さん、彼が言っていたことなんか気にする必要ないですよ。お金の有無で助けられない方が私にとっては問題ですから。それよりも私は彼のこの村の規模が小さいから見捨てられて当然だという態度が気に入らないのです」
「マリンさん……」
奥さんはにっこりと笑った。
「ふふ、ありがとう。でも平気ですよ、彼のその態度に我々は傷付いていません。マリンさんが我々の代わりに滅茶苦茶怒ってくれたので」
「え?」
「あ、その……盗み聞きするつもりはなかったんだけど家の壁が」
「壁が薄いもので……」
家中に自身の声が大音響で響き渡っていたことにマリンは気付いた。
「ごめんなさい!!!」
翌朝、レントとマリンは村人達に見送られながら魔獣討伐のために村を出た。
「行ってきます」
「討伐を頼んだ我々が言うのもなんですが、どうかお気をつけて」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん。絶対負けないで……」
ミリヤが涙目で二人を見上げ、レントは少女の頭を撫でた。
「はい、もちろん!」
「頑張ってくるよ」
二人は森に入り魔獣を探す。人喰いの魔獣がいると思えば、普通の人間は一秒たりとも滞在していたくない不気味な森だ。マリンは魔法探知で魔獣の存在を探っているが、まだ効果範囲内に魔獣の反応はなかった。
「初日で魔獣を見つけられるかな?」
「問題ないと思いますよ。その魔獣は人の味を覚えている。熊タイプは鼻も効きますから、心配せずとも向こうからやってきますよ。きっと」
「なるほど……」
そう話しているうちに杖の水晶の反応が大きくなる。
「探知しました!」
「どう!?」
「速い!こちらに向かって──」
音はなかった。
その巨体は木々の間を縫って、本当にすぐ近くまで距離を詰めていた。
分かっていたこととは言えど二人は一瞬ぞっとしたが、すぐに気を持ち直してマリンは無言で杖をかまえて魔獣の頭を攻撃した。放たれた魔力が魔獣に直撃する。その瞬間から魔獣は二人を餌ではなく敵と認識した。
「ギャオオオオオ!!!!」
魔獣が怒り咆哮する。
「マリン!」
レントがマリンを抱きかかえ一目散に逃走する。
「作戦通りにお願いします!」
マリンはレントの肩越しに、あらためて魔獣を観察する。通常の熊の二倍はある体格。ゴワゴワと灰色かった固そうな体毛。鋭く伸びた爪と牙。身体強化の魔法を掛けられているのにも関わらずレントが引き離せない、そのスピード。只でさえ強い熊が魔獣と化したのだ。一瞬たりとも気は抜けない。
たとえ身体強化や防御力を魔法で上げていたとしても、あの魔獣相手に近接戦は挑みたくない。
だから
レントがマリンを連れて逃げ一定程度の距離を保ち、その間マリンは魔獣の弱点である感覚器官にひたすら攻撃を当て続ける。
(当たってはいるけど怯む様子もない!)
怒り狂った魔獣は巨体であるにも関わらず軽々と木々を避け、時になぎ倒しながら迫り続けていた。しかし突如、その行動を変える。
魔獣が鋭い爪を地面につきたてて大地を派手にえぐり取る。枝や土、石が巻き上げられては降り注ぐ。
「くっ……!」
急に視界も足場も悪くなったが、それに気を取られるわけにはいかない。レントはひたすら走り続ける。
しかしマリンの叫び声が響き渡る。それと同時に何か大きなものが風を切る音も。
「レント君!岩が!」
レントは大きく跳躍する。
「っ!」
「きゃっ!」
空中に投げ出された。
先ほどまで二人がいた場所に岩が激突したのを視界の端で見る。熊はまだ追ってきており、再び地面をえぐり取ろうとしている。
(空中で無防備な今は、ちょっと不味いかも……!?)
レントが焦る中、何処からか真っ直ぐ放たれた魔力が魔獣の腕を貫いた。
「あなたは!!」
マリンとレントが先ほどの攻撃をした人物に目を見張る。
「私も参戦させてもらいますよ!」
昨夜、話した大道芸人がステッキを模したレイピアを携えて応援に来たらしい。大道芸人は次に目を狙って攻撃を放つが、それは魔獣に躱された。
「貫通力はあるんですがねぇ……そう、甘くはないか」
貫通力に特化した剣閃は固い物にも攻撃を通すことが可能な一方、的に対して一点集中型であるために躱されやすいのだ。
マリンを抱えたレントがズザザと滑りながら着地し大道芸人に近寄る。
「お兄さん、来てくれたんだ?」
「まぁね。でも、お邪魔だったかな?」
大道芸人が未だ姫抱き中の二人にそう言うと、マリンは慌てて降りた。
「助けに来てくれたのはありがとうございます!でも、これは違うと言いますか!そう、あくまでも作戦だったので!!!」
「おや、それは失敬」
「ふ、二人共……魔獣の前で油断は危険だよ」
一人増えたことで警戒し一定の場所で止まっている魔獣だが、この均衡も時機に崩れるだろう。
「連携しましょう」
マリンが言う。
「大道芸人さんは魔獣の関節を狙って、私は感覚器官への攻撃、レント君は私達を守ってください!」
「分かったよ!」
「お任せあれ!」
三人が攻撃を開始する。
「行きます!」
マリンが魔獣に次々、攻撃を叩き込む。
「ギャオオオオオ!!!!」
魔獣が咆哮する。
「させるか!」
マリンに向かって放たれた爪の一撃をレントが剣で弾いて防ぎきる。
「強いですねぇ、君達!口先だけじゃなかったわけだ!」
負傷しているとはいえ、魔獣の動きはまだ止まらない。
「そこです」
レントを攻撃しようとする魔獣の手を大道芸人が撃ち抜く。
「私も結構、強いんです」
レントがそれに対し、素直に頷きを返した。
「うん。木こりの俺が言うのもなんだけど、戦士職じゃない大道芸人さんとは思えないよ!」
「……あっはっは!」
大道芸人が魔獣の機動力を奪い、レントが挑発・囮、マリンが打撃を与え、魔獣に確実にダメージを与えていく。
大道芸人はレイピアを構え、再び攻撃を加える。大道芸人の的確に目を狙おうとする攻撃に魔獣は警戒し続けており、魔獣は大道芸人を攻撃せんと突進した。
「おっと」
大道芸人は華麗にステップを踏んで後ろに下がり、レントが間に割って入り食い止める。
「ぐっ、重い!」
「魔獣さん、こちらに気を取られていてよろしいのかな?」
魔法使いの少女の杖の先に貯められた白く輝く大きな魔力の塊が浮かび上がっている。
「これでどうですか!!!!」
他の攻撃よりひときわ大きい光と熱が魔獣の口の中を焼く。
「ガ、アア……!」
断末魔の叫びを上げ魔獣は倒れた。魔獣の肉体から黒煙のようなものが出て消えていく。
「ふむ、魔獣から魔が抜けたようです。討伐完了ですねぇ」
「はぁ、はぁ。元々、強い獣が魔獣に変異すると倒すのに苦労するね……」
「これで村の皆さんも安心です!」
そうして一息ついていると、突然第三者の野太い声が辺りに響き渡った。
「発見しました!」
「な、なに?」
レントとマリンが戸惑っているうちに複数の兵士達が豪華な馬車と共にやってきた。馬車のうちの一つから真面目そうな男性が降りてきて大道芸人に走りよる。
「イルマイン陛下!」
その男性が叫んだ名前にマリンが動揺した。
「どういうことですか!?」
「……誰?」
「そこの君、無礼ですよ!?」
「レント君、あのお方は……ですね」
「国王陛下、です」
「王様だったの!?」
「あっはー!ばれてしまっては、しょうがない!」
大道芸人を名乗っていた男性はレントの驚きに、いい笑顔で返した。
「ええ、そうなのです!私はイルマイン・フォーサイト・アルディア。実はお忍びで村に来ていたこの国の王、アルディア王なんですよぉ!いや~、仕事が忙しくて嫌になってしまったんです。少しくらいは誰にもばれず遊びに──」
「陛下、誤魔化さないで頂きたい!魔獣退治目的でオリヤ村に行ったのでしょう!?」
「……あっはー!」
「図星なの!?」
イルマインの配下にしばし待機してもらい、三人は少し会話をした。マリンがイルマインに笑顔で話し掛ける。
「安心しました!昨日のあれは本心ではなかったのですね?」
それにイルマインは飄々とした笑顔を消して答えたのだった。
「……残念ながらそうとは言い切れません。だから討伐隊は送らなかった」
「陛下……」
「私の正体は伏せたうえで、村長さん達に私が非礼を詫びていたと伝えてください」
「承知しました!」
レントはイルマインにとある疑問をぶつける。
「こうして魔獣を退治するなら、始めから討伐隊を組んだほうが良かったんじゃないんですか?」
そうすればいくら強いとは言えど国王直々に戦うなどという危険な真似をせずにすんだはずだ。
「私もそうしたいけれど、なかなか上手くはいかないものです。人員には限りがあるでしょう?本来なら全員を助けたいけれど、それが無理だから我々は討伐隊を編成する基準を設けている。同じ条件の村のうち『あっちは助けたのに、こっちは見捨てました』は通せないものなのです」
「お兄さ……、ごほん。陛下はそれでも助けるのを諦められなかったからお忍びで退治に来てたんだね」
「はは、そうなるかな。ばれなきゃいいと思って!」
わざわざオリヤ村が近くになるように地方巡回の日程を組んだのだ。『明日の昼には帰ります』の置き手紙だけを置いて王が失踪したのだから警備は当然混乱に陥っただろう。痛い程に配下からの視線を感じる。絶対にものすごい形相でこちらを見ている。
「うん。……私、多分この後滅茶苦茶配下から怒られると思う。私の無事を祈ってて」
「陛下は強いから大丈夫だよ」
「レントくん、ここは嘘でも『分かった』と言っておく場面なんだよ?」
イルマインが馬車に乗り込み、最後に二人に目を向け挨拶をする。
「マリンさん、レントくん、本当にありがとう。この借りはまたいずれ」
「いえ、そんな。助けられたのはむしろ私達のほうで……」
「私は王なので民の安心安全を考えるのも仕事の一つなのさ。本当は単騎討伐するつもりだったうえ、無理そうなら残念だけど諦めるつもりでしたからねぇ。まだ年若い君達を当てにするのは、ちょっとどうかと思ったけれど助かりましたよ。そうだ、つきましては褒章を……」
「お、恐れ多いです!陛下!!!」
「そお?欲のないことで。それじゃあ、困った時にでも声を掛けておくれ」
レントとマリンは声を合わせてそれに答える。
「「はい!ありがとうございます!」」
「二人とも、お世話になりましたねぇ!それでは、また!」
イルマインは朗らかな笑顔を見せた後、配下達と共に去っていった。
「私達も行きましょう。まずはオリヤ村に帰って戦果報告しなくては」
「うん。村の人達が待っているだろうしね」
こうしてオリヤ村における魔獣退治は幕を閉じたのだった。
なお、この後オリヤ村では細やかな宴が催され、酒に酔った村長が泣き上戸と化したが詳細は割愛とする。
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