【KAC20251】ひな祭りを勘違いしている、うちのカワイイ人外ちゃん

帝国城摂政

【KAC20251】ひな祭りを勘違いしている、うちのカワイイ人外ちゃん

 3月3日、世間一般でいう所のひな祭りの日。

 その日、うちに帰ると、部屋の中は泥棒にあったのかと言うくらいに、荒らされていた。


【ガンダ、ログバゲデデビダン……】


 その惨状を引き起こした犯人は、部屋の真ん中で笑っていた。

 黒一色の身体と顔の真ん中に大きな口、4本指の腕と灰色の翼を持つ、明らかに人ではない人外と呼ぶべきそれは、数日前からうちに来ている人外ちゃん。

 人の言葉を話す、人ならざるバケモノである。


 ボクと人外ちゃんがいつ出会ったのかはさておき、どうやらこの部屋の荒れようは、人外ちゃんが引き起こした行為らしい。


「人外ちゃん、どうしてこんな事を?」

【ジャレデジョ! ガンダビパダギンビロヂグパバスパベバギジャバギ!】

「落ち着いて! 落ち着いてよ、人外ちゃん!」


 どうしてだが知らないが、いきなり暴れ出した人外ちゃんに落ち着くように言いつつ、ボクは部屋を確認する。


 すると、いつもと違うモノが部屋の中に置いてあった。


 3段の階段上のモノの最上段に2体の人形、中段に3体の人形、そして最下段にいくつかの道具が、それぞれ乱雑に置かれていた。どうやら、あの4本指の腕で不器用ながら置いていったのだろう。


「ひな人形のつもりかな? ふふっ、可愛いなぁもう!」

【ヂガグパジョ! ガンダ、ボグジャデデパダギゾボングガダビギデダバサ……】


 あー、そうやってぷんすか怒っているような仕草は、本当にかわいいなぁ~。

 やっぱりあの日、彼女をこの家に連れて来て良かった。


「大丈夫だよ。あとはボクがやるから」


 ボクはそう言って、彼女が本当に置こうとしていたひな人形を飾り付けていく。

 5体の人形といくつかの道具は、またこうして間違ってやられるのが怖いし、あとで処分しておこう。


 大丈夫、ボクは君がどんな姿でも、ずっと、ずーっと愛してあげるからね。


【ログバゲギデ……。パダギパビンゲンジョ。ボンバドボソビ、ゴギボレバギゼ! ギゲビバゲギデ!】

「うんうん、一緒になろうね。ゴガババジリちゃん♪」




















【あんた、もう帰って来たの……】




「人外ちゃん、どうしてこんな事を?」

【やめてよ! あんたにわたしの気持ちが分かる訳ないじゃない!】

「落ち着いて! 落ち着いてよ、人外ちゃん!」




「人外ちゃん、どうしてこんな事を?」

【違うわよ! あんた、こうやって私をこの姿にしてたから……】

「落ち着いて! 落ち着いてよ、人外ちゃん!」




【もう返して……。私は人間よ。こんな所に、押し込めないで! 家に返して!】

「うんうん、一緒になろうね。【幼馴染】ちゃん♪」

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