第13話

海からの着信が1件。



5分前に来ている。



「ねぇ、やっぱり戻ろうよ…」



隣で焼きそばを食べる愁の服の裾を引っ張る。



「はぁ?まだ焼きそば食べただけじゃん」



「だって…」



海から電話が来てるんだもん

これ、絶対「帰って来て!」って電話だよ…



「海、怒ってるかも…それに、忙しくて困ってるかもしれない」



はぁ…とため息をつくと、愁が僕を指差して言った。



「あのな、混んでるのなんて見てたら分かるだろ?俺たちは、解放される為に遊びに来たの」



「な?」と、僕の肩に手を置く愁。



「え?みんなに差し入れ買いに来たんじゃないの?」



想像以上に大盛況で、すごい忙しいから…「みんなに差し入れでも買いに行こうよ」って言ってたよね?



「でも、お化け屋敷行きたいって空も言ったよね?」



「それは!愁が『お化け屋敷だって~!空は怖くて入れないんじゃない?』って言うから!」



「一緒に行こうって言ったのは空だよね?」



「それも!愁が『ムリムリ、絶対ムリ。海がいないと何も出来ないでしょ?』って言うから!」


愁と一緒に行って、僕だけでも出来るって証明しようと思って…



「うん、だから、みんなの分買ったじゃん?焼きそば」



「じゃあ、すぐ帰ろうよ」



今は、焼きそばを買い終わって、お化け屋敷の列に並んでいる。



「ここまで並んだのに!?」



確かに、あと3組くらい。



どうしよう…と思っていると、電話が鳴った。

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