第60話

「ニヤニヤしてないし」



「暁見て、ニヤニヤしてたくせにー」



「だから、してないって!」



ツンツンと頬をつつかれ、その手をバシッと振り払う。



「…っ…いたた…」



腰を押さえて倒れ込む。



「…ふーん…そういうことねぇ…」



「なんだよっ」



ポンポンと肩を叩かれ、起き上がるのを手伝ってくれる。



「…っ…」



動く度に痛む腰。



「大丈夫?」



「…うん、」



起き上がった俺の腰を原野が擦る。



「ちょ!」



ジュースを持って帰ってきた暁が、俺の腰を擦る原野を見て走ってきた。



「愁!!俺の颯斗に触んないでっ!!」



原野の腕を払って、俺を抱き寄せる。



「い…痛いって…」



「あ…ごめん」



「ラブラブってわけ?」



原野がからかうように言った。



「そうだよ?」



暁はムキになって、俺を抱き締めながら言う。



「ちょ、暁…」



俺のほうが恥ずかしくて、暁の胸を押し返す。



たぶん…いや、絶対、赤くなっているであろう顔を見られたくなくて逃げるように自分の部屋に走った。

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