第24話

「だからこそ、その通りにしてやるのが癪で

してやらないってのもある」



「癪って」



それは皐月くんの意地で動いている様なもので。



契約よりも、或いは約束よりも脆いものだった。



…やっぱり皐月くんは何処か子供っぽい。



まあ私と同い年なんだし、それ位不思議じゃ無いけど。



精神的にじゃ無くて“性格”が子供なんだ。




「まあそんな訳で当分は解放してやんないかな。


まだお前の血も味わい尽くして無いしね」



「……、」




「味に飽きるか他に良い餌見付けるまでは


仲良くしよーよ」



ニコッと笑って皐月くんは黙り込んだままの私の頬を撫でた。




「髪食べてる」



「っ」




唇を拭う手の甲、ばらばらに動く指。

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