第6話

「お前、忠犬みたい。


…でも無いか、たまに歯向かってくるし」




くつくつと喉の奥で笑いを噛み殺す。




その時、微かに私の意識が目を覚ました。




「便利な御人形を見付けたと思ってたんだけどな」




その言葉が、耳に届いて私は僅かに身体を震わせる。




便利な、御人形――?



私は、皐月くんの便利な御人形なの?




「ん、依茉?」



私の身体が小さく震えている事に気付いたのか

皐月くんは弄んでいた髪をサッと離す。




「起きてたのか、依茉」



「……。」




それには答えず、身体だけ震わせる私の様子を見た皐月くんは、




「身体が冷えたか、」




なんて的外れな事を呟いて

それから私の身体をひょいと持ち上げた。

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