第3話

そのまま、ずるずると私はされるがままになってしまう。




このままじゃ、ダメって頭の中では分かっているのに。




心は恐怖心で一杯のくせに。




身体は彼に与えられる快感に溺れている無様な自分。




情けないと思う。

そして私は今でもあの日の事を後悔している。




あの日、あんな事をお願いしなければ。

契約なんて結ばれなければ、こんな事にはならなかったのに。




ううん、それ以前の問題だ。




あの日、あの場所、あのタイミングで街角で彼に出逢わなければ

こんなに苦しくて悲しくて辛い思いはしなかったのに。




私はバカだ。




「…無視すんなよ」




彼は激しいキスの後、唇を手の甲で拭って私の事を睨み付けた。

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