月の住人

第6話

「…コ、ミチコ…起きて?!」


遠くから聞こえるタクトの声で

はっ…と目が覚めた。


空は星が少ない夜の空。

そして、私が寝ていた場所は

黄色のようなミルク色のような不思議な色に光っているデコボコしている、どこまでも広がっている地面。


青みがかったグレーの瞳で心配そうに私を見つめているタクトの顔が見えた。

「タクト…あれ?私、気を失ってた…?」

「良かった。ここについてミチコを降ろそうとしたら、ミチコが力無くボクの腕から崩れ落ちたから、びっくりしたんだ。…大丈夫?」


うん、と頷き、体を起こす。

相変わらず、頬の痛み…と思って彼氏に殴られた右頬をさすった。

「ここはもしや…?」


「月、だよ??」

タクトは当然、というように頷く。


「…息できるよ?」

「うん。息出来なきゃボクたち死んでるし、ここの住人も生きてないよね?」

私の質問に、さもありなんというように明るく答えるタクト。


うん…夢。夢だから。本当に月に行くならロケットや酸素マスクや宇宙服がいる。

第一こんな、ダウンコートとGパンとセーターじゃ無理。。


私は自分の脳に無理やり納得させるように言い聞かせた。

「さて、ミチコ。仕事の前にボクの親友でありアシスタントを紹介するよ」

 

「アシスタント…?」


そう、とタクトはニッコリ笑う。

「もしかして、ミチコはびっくりするかも。」


いままで想像を遥かに越えたモノを見させられてきたんだ。さらにびっくりしなきゃならないのか…と、密かにはぁ…っとため息が出てしまった。


タクトは公園で取り出したステッキを取り出して、地面を三回叩く。


すると、目の前に人一人通れる位の青い色のドアが出現し、タクトはドアに向かい


『客人だよ!』

と声をかけた。


すると、キィ…とドアが開いて、扉の向こう側から誰かがくる。

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