第5話

「ひ、ひゃぁぁ??!」

ピーターパンのように、夜空を飛ぶタクト。

「ひゃっほーーーぅ!!!(*≧ω≦)」

風を切り、彼のハットのツバが揺れ、彼は楽しいさを声を上げて表現する。


飛行機が離陸するときのような抑えつけられるような重力は感じることなく、タクトに抱きかかえられながら飛んでる私。

ピンボールの弾け飛んだボールのように空気を切り裂き、彼は飛ぶ。 


ふと、下界を覗くと

沢山の建物や道路やタワーの照明の明かりが綺麗に見える…。


フワフワしているような、切り裂く風は強いけど決して寒くはなく、不思議な気持ちになった。

…そう、一言で言えば


気持ちいい…。


表現では聞いたことはあるが

まさか、、

夜空を

飛ぶことに

なるなんて……


でも、そんな空中飛行は

なんかとても楽しい気分になった。


ふと、タクトの後ろを覗き込むと、

ジャケットの上にいつの間にか闇色のマントをつけており、そのマントのおかげで飛んでいるみたいだった。


はっ…と気がつき、私は飛行を楽しんでいるタクトに声をかけた。


「た、タクト、どこへ向かっているの?!」


風の音で聞こえづらいと思い、大きな声で彼に呼びかける。

「目の前の、大きくて明るいところだよ!」


目の前の?!

…大きくて明るいって…まさか。


目の前には先ほどよりとてつもなく大きくて、明るい満月がいる。



「つ、月?!!」

あまりの不可思議な展開と状況に私の思考回路がついに故障してしまい、


私は、彼の腕の中で

気を失ってしまっていた…。

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