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佐々木家の朝
第1話
とある町のとある佐々木さんのお宅は5人兄弟である。
それも双子が二組の珍しい兄弟。
そんな佐々木さんのお宅は朝から賑やかだ。
「お姉!お化粧道具貸して!」
「はあ?自分のがあるでしょ?」
「なんか知らないけど無くなった!」
「前買ってあげたじゃん。探しなさいよ」
「探したんだけど無いんだよー!」
制服を着た次女に腕を引っ張られている長女はうんざりしながらコップに注いだ水を飲む。
「私は朝から君達の朝ごはんとお弁当を作って疲れてんのよ。静かにしてよ」
「ごめん!そしていつも美味しいごはんありがとう!」
鬱陶しそうに言い放つ長女の言葉に次女は満面の笑みで答えた。
「……潤弥~、純香の化粧道具探してやって~」
「え、何?化粧道具?もう化粧してもしなくても同じなんだからよくね?というか遅刻すんぞ」
「これだから男は…!お姉も何か言ってよ!」
「……そうね。純香、早く行きな」
「え!?お姉まで!?」
お姉は味方だと思ってたのに~、と嘆く次女を他所に長女も次男も準備をする。
「純香。夜に一緒に探そうな。今日はもう時間ないから我慢しな?」
そこに長男が救いの手を差し伸べた。
「お、お兄~!」
「清香も貸してやればいいのに」
「一式買ってやったのになんで私の貸さないといけないのよ」
「はいはい。ほら、純香、潤弥はもう準備終わってるよ」
「え!?潤弥!?待ってよー!」
「待たねえよ……って誠弥は?」
次女が急いで準備をしていれば次男が準備を放棄していた三男のいるソファーへ目を向けた。
「潤君。俺、休む」
ソファーに項垂れていた三男は傍に寄ってきた次男に言い放った。
「いやいやいや。休むじゃないから。体調悪いとかじゃなかったら休むな。兄ちゃんそれだけは許せねえ」
「だって眠い」
「眠いじゃねえよ。ほら行くぞ」
「誠弥、頑張ろう。私も顔作れてなくて気分萎えてるけど頑張って行くよ」
「……純ちゃんは頭悪いから仕方ないでしょ」
「誠弥ずばっと行くね!お姉ちゃん悲しい!」
「よし、分かった。俺がおんぶしてやろう!!」
「え、まじで言ってる?それ私でもハズいんだけど」
「あぁ?じゃあお前はお姫様抱っこで連れてってやるよ」
「絶対いや。というか誠弥おんぶして私をお姫様抱っことか馬鹿でしょ。うけるー」
「お前にだけは言われたくねえ」
ぎゃーぎゃーと騒ぐ双子を隣に三男は渋々準備を再開した。
「二人とも何騒いでるの。早く行かないと時間ギリギリじゃない?」
洗濯物を干し終えた長男が高校生組に時間を知らせる。
「ぎゃー!遅刻するー!潤弥のせいだー!」
「俺じゃねえよ!お前だろ!もう仕方ない!自転車三人乗りするしかねえ!」
「そうだね!潤弥頼むよ!」
「いや、三人ってどうやって乗るんだよ。俺歩くよ。遅刻でいいよ」
「駄目だよ!誠弥だけを犠牲になんて出来ないよ!」
「でも三人乗りは流石に無理でしょ」
「となると、猛ダッシュだな!仕方ねえ!三人で仲良く遅刻すれば何も怖いものはない!」
「え~朝から汗かくのやだな~。あ、潤弥、それこそおんぶしてよ!」
「なんでだよ!!お前が汗かいたって誰も何も気にしてねえよ!」
「聞き捨てならないわn「朝からうるさいわよ。いいから三人とも早く行けよ」
「「「…はーい」」」
黒いオーラを纏った長女に指摘され、三人(主に双子)は素直に頷き、いってきまーす、と言って猛ダッシュで学校へ向かった。
「俺たちもそろそろ行かないとね」
静かになったリビングで長男が言えば、そうね、と長女が椅子から腰を上げ小さく笑った。
「というか三人とも自転車で行けばよかったんじゃないの?」
「許可が出てないから駄目なんだよ」
「なるほど」
そう言って二人は準備を始めた。
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