第39話
「そんな大役、俺でいいのかよ」
喉が熱くなるのを感じながら訊けば当たり前のように返事が返ってきた。
「こんなこと、祐人にしか任せられないでしょ?」
「ふはっ、うん。そっか。うん」
「ふふ、何その反応」
「うるさい」
「あはは、ごめんね。それで、返事は?」
やっぱり笑って問う旭奈に俺は言う。
「うん。これからも、一緒に帰ろうか」
震える声を必死で抑えて、潤む目を必死に隠そうと目を細めながら言えば、当たり前、と笑顔で返事が返ってきた。
その帰り道はいつもよりゆっくり歩いた所為か、手をつないで歩いた所為か、はたまた違う理由なのか、いつもの景色が少し違って見えた。
その景色はきっと君とは違った色で見えているのだろう。
それでも、君の見ている景色は決して間違ってはいなくて、ずっと目に焼き付いているはず。
例え見分けが全くつかなくても、誰に何と言われようとも俺はずっと君の最大の味方で、最高の目印になるよ。
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