第28話

「嘘だよ」




探し出した言葉を吐き出せば、旭奈の目が少し揺れた。




「旭奈の絵、見たい」


「……」


「…見せてよ」




自分の所為で彼女を傷つけてしまって、でもどうすればいいのか分からなくて、また必死で助けようと踠く俺はどれだけ滑稽なのだろうか。


好きな人にこんなに必死になっているのは俺だけではなく、誰にでもあって、皆意地を張って生きているのではないのだろうか。


変わったことなんかではなく、至極当たり前のことなのではないのだろうか。



考えていれば彼女は静かにそれを見せた。




「っ、」




そして、俺は見てすぐに視線を逸らした。

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