第22話

テストも終わり、夏休みももうすぐだと言う頃に俺の絵は完成した。



デッサンの後はいつものようにひたすら色を重ねた。


色を塗っては違う色を重ね、最初の白の上に黒の線だけで描かれていただけの絵の面影がない位に色を重ねる。


本当の姿が見えなくなっていくそれは、俺が想いを隠すのと少し、似ていた。




「出来たー!」




そして、旭奈がコンクールに出ることを決めたのは彼女の気持ちがはっきりと分かってから数日後のことだった。



あの帰り道から随分日にちが経ち、その間旭奈は絵を描くスピードが遅くなるほど俺の好きな人を考えていたが結局分からないまま。


そんな旭奈は俺の絵が完成したすぐ後に自分の絵を完成させた。



旭奈が専門とする水彩は水加減で色が決まる。


それは旭奈の表情のようにころころと、変わる。


一年振りだからなのか色の見分けがつかないからなのか定かではないが、上手く色が出なくてへこんでいた時がよくあった。


そして、よく失敗もしていた。


その度に先生や俺に頼って来てくれたことは嬉しかった。



それが俺の言葉の所為なら尚嬉しい。

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