第29話

「どこまでって、一緒に遊んでくれたら諦めるよ」


「馬鹿じゃないの」




男の言葉に思わず思ったことを言ってしまい、しまった、と口を押える。



あぁ、もう。おーちゃんに散々言われているのに。




「馬鹿じゃないよ。俺マジだから」




自分の発言に悔んでいれば男は平然と言葉を返してきた。


それにまたうんざりする。




「いや、貴方、私の事知らないでしょ」


「知らないよ?これから知っていけばいいじゃん」


「はあ?意味わかんない」


「意味わかるでしょ。君がいいって言ってんの」


「だから、何がいいのか分からないって言ってんの」


「顔に決まってんじゃん」


「私は貴方の顔は無理です」




断固拒否する私に、君面白いね、と笑う男にため息が出る。


本当しつこいな。ここまでしつこいのは初めてかもしれない。




「本当に迷惑なんで、ついて来ないでください」




再度言えば、そんな事言わずにさ、いいじゃん、と食い下がらない男。


駄目だ。何言っても無駄なような気がする。

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